20××年夏

広島平和祈念式典。

市内各中学校代表生徒が広島を訪問します。

式典当日は、朝から公式の行事であわただしいのですが、

日没から市民の皆さんが大勢お参りに訪れます。

原爆ドームは思い思いの手作りローソクで照らされ、元安川に灯篭が流されます。

喧騒から離れた川岸に、

車いすに乗った老婆が、ただ黙って元安川を眺めます。

暗闇の中、彼女に見える景色は、当時のままです。

原爆投下直後のあの光景がよみがえります。

しなくてもいい戦争。

他の解決策があるのに、暴走する制御不能な政府。

古来『祀る』とは『鎮める』という願いがあります。

1000人を超える靖国の、処刑された『昭和殉難者』。

紛れ込んだ、怨めしい『英霊』たち。

『英霊』は複雑な意味を含みますね。