一部の伝統ある美大芸大受験は難関です。
しかし、昨今都会でも地方でも、
美術大学や美術系の大学・学部・学科がいたるところにあります。
東京五美大、国公立四芸は昔の話です。
一般入試はもちろん、推薦・OA入試など、入試も多様化しています。
早いところでは高校3年の夏休み明けには合否が決まります。
3月まで何らかのパターンで受け続ければ浪人せずに済みます。
早くから予備校に通い、石膏デッサンに明け暮れるのは今や昔です。
そして、少子化。
国公立大学とは対照的に、私立大学は学生の獲得と育成に奔走しています。
特筆すべきは山形市の東北芸術工科大学です。
設置者は山形県、運営は学校法人です。
山形県・山形市が全面的にバックアップします。
行政の後ろだては強力です。
地域の特産物の商品開発、広報、販売に大学が連携します。
学生は地域に入り込み、フィールドワークし、地域の人々と交流します。
東北のアニミズム的な独特の風土をエキゾチックに演出します。
学内には考古学・民俗学も学べる学科があります。
ただ作品で表現するだけでなく、表現の背後にある文化的・歴史的文脈を探らせます。
それを現地取材させ、レポートさせ、徹底的に『言葉』で深化させます。
キャプションの文面には観念的でない作品制作の『意図』が明確に読み取れます。
こういった制作者の『発見』は他大学の学生には見られません。
学生の質がまるで違います。
大学の攻めの戦略。
学生の奇想天外な発想が輝きます。
地域産業とかかわりが学生の活躍につながります。
地方行政機関による、積極的な作品買い上げ。