子どもの絵のコンクール会場で熱心に撮影している方は、ほぼ学校関係者です。

保護者は子どもの作品だけ熱心に見ます。せいぜい受賞作は感心してみます。

ある美術の研究会で、自身の教え子が最高賞をとり、異動した先でも受賞した指導顛末の紹介でした。もちろん全く別の生徒の作品です。けれども作風はそっくりです。その教師は誇らしく、造形指導の巧みさを力説しますが、違和感が残ります。

著作権とは?

教師の関与とは?

描いたのは確かに生徒でしょう。しかし指導という名の描かせられた作品だとしたら。

授業でよく使われるワークシート。

主題は、構図は、中心になるものは、脇におくものは…

過去の受賞作品は…

描くための動機からではなく、初めに受賞作ありき。

 

テーマはスタイルではありません。

訴えたい、伝えたい内容です。

私は生徒に作品の出来不出来を求めません。

名画といわれる作品だけでなく、むしろ私は現在制作された作家の作品を紹介します。作家の生き方、時代背景、社会の問題点、自我の抱える葛藤や幸福感…

テレビドラマやドキュメントも見せます。

模範解答を求めないと理解がさらに理解を生み、誤解も素敵な理解に変身します。

そこが社会科と違うおもしろさです。

生徒独自のいろんな解釈や発想から、独創的な作品がうまれます。

それでも、毎年入賞しました。

他者の作品のよさに気づき、共感することで心が広くなります。