どんな風にやればいいのかが分かり出すと上達は早いものです。
油絵具にも慣れてきました。
元々ねちっこい描写は好きな方です。
色づくりは工場でみっちり学びました。
つくり出すことができない色はありません。
他の人が苦手とする、
ガラス、金属、光り物は得意になりました。
が、石膏デッサンというか、
木炭による石膏デッサンがまるでダメでした。
先生に「習う適齢期が過ぎている。」
また別の先生には「自分に合った革命的な方法を見つけなさい。」
ところが消せないポールペンでの石膏デッサンはただ一人できました。
予備校の人々は
「❓」「‽」「⁈」「⁇」
その当時
どうして石膏デッサンをするのか、
何のためにするのか
いつからなのか
誰が考えたのか
明確に答えられる人は皆無でした。
「石膏デッサンは上達する必須だから。」
「石膏デッサンできる人は
どんな絵でも描く力があるお墨付き。」
「抽象画を描く人は石膏デッサンを卒業した人たちだ。」
伝統と妄信。
手を真っ黒にしながら、カビの生えかかった食パンを握りしめ、
私は石膏デッサンが怨めしく思えました。