林竹二先生は、

『教育は教えることではない。』

と言います。

林先生は仙台市の太白小学校で授業を不定期に行っていました。

退職後も、宮城教育大学でたびたび公演をしていました。

会場はいつも満席でした。

彼の授業の基本はソクラテスの問答法でした。

『子どもは考えるとき黙るものだ』

自分が知らないことに気付かせることが学びの始まりだ、と

子どもたちを問い詰めます。

林先生は教諭ではありません。

宮城教育大学の2代目の学長です。

東北学院大学を卒業後に東北大学に入り直し、

卒業後に事務職としてそこで勤務しました。

「大学は一つとは限らないんだ」

そして私は、

「美大に行ってもおかしくない」

と決心しました。

林竹二先生。著作より。

自ら学ぶ子を育てたいという教育法は一時期注目されましたが、

「アクティブラーニング」そして「学びあい」教育の普及の中で林先生は忘れ去られていきました。

1980年代は教科書の歴史が見直された時期でした。

「鎌倉幕府成立は1192年ではない」

「徳川綱吉は生類憐みの令を出していない」

そして林先生は

「鎖国はない」

こういったものの見方が、後日美術以上に私の仕事に大いに役立つことになりました。