自分が進みたい方向が見えないまま、

3年生が過ぎていきました。

受験勉強は順調です。

偏差値はまもなく60です。

先生方は眼を微笑ませ、

生徒たちは尊敬と期待を込めて見つめます。

当時は偏差値の輪切りです。

受験生の興味関心・適性など測ったことがありません。

教室の壁には、

偏差値ごとの大学ランクが貼ってあります。

受験雑誌「蛍雪時代」の付録です。

私たちは実力テストのたびに、

今この辺、もう少しでこの辺り、

などと雑談します。

松下政経塾をあきらめた私は、

法政大学の経営学科を第一希望にしました。

今までの人生路線の延長です。

また、将来食べていける堅実な方策です。

6大学は名誉なことです。

クラスはますます期待に踊ります。

受験生はいつも漠然とした不安を秘めています。