新庄の冬は厳しい寒さです。

寮には大きな風呂がありました。

天井から雫が落ちてきます。

「はっけ!」と叫んだら

まわりに沈黙の空気が漂いました。

「『はっけ』ってなにど?」

「『冷たい』ってこどか。」

「こっちでは『つで』ゆうんだじゅ。」

大笑いされました。

新潟と山形では言葉がまるで違いました。

『つで』『ずほ』(うそ)『みじょげね』(かわいそう)

語尾には『だじゅ』

女性は『にゃ』

を付けます。

わけがわかりません。

ちなみに相手は『わ』

『われ』もそうでした。

『我』は自分をさしません。

 

そんな私も数年後には同じ言葉を使っていました。

 

最上川はいつもゆったりと流れていました。

葉山、月山、羽黒山、鳥海山が盆地を囲んでいました。

冬はあっという間に訪れます。

寮のガラス戸は氷の結晶で覆われます。

高架橋のガード下には巨大なつららが下がります。