「なんで彼女が来るの―――ッ!!」

 

困惑する雨宮。

 

俺が呼んだんやで・・

とは言わず

 

無言で半ズボンと正体不明のキャラクター柄の

Tシャツを着て、放送室の備品を入れる

備品棚の一番下の扉を横にスライドさせて

その中にもぐりこんだ。

 

古い備品が足元のあったので

足でどけた。

 

大人では入れない空間。

 

小学生の体でもギリギリだった。

 

埃臭い臭いが俺の鼻孔に入り込んだ。

 

汗が止まらない・・

 

自分の汗と雨宮の体液が入りまじり

不快指数100%になっていた。

 

俺は新鮮な空気が欲しく扉を少し開けた。

 

雨宮がブラジャーを付け終わって

薄いブラウスのボタンを留めてる途中だった。

 

精子と唾液で雨宮の口紅は消えていた。

 

「キケンデス ニゲテクダサイ」

シックスセンスが警告したが

どうにもならなかった。

 

前島ヒカル

俺と同じクラスの女・・

 

雨宮とSEXする最悪なシナリオになる前

に召喚する予定だった女。

 

雨宮が学校関係者の中で一番苦手とする人間を

召喚して俺の体を守る予定だった。


身長162cm程度で

学年で一番背が高い

 

均整のとれた手足の長いスタイル。

 

子供特有の

毛穴のない産毛だけの

桃の皮色の皮膚。

 

黄金比に当てはまるような

バランスの取れた

目鼻口の美形パーツの配置。

 

ツインテール

 

そして自称

シンジ親衛隊隊長

 

原宿に行くと

スカウトが毎回寄って来るという噂も

本人からは聞いたことがないが

本当なんだろう。

 

それほど目立つ存在だった。

 

暗黒の破壊神

 

疫病神

 

ストーカー

 

妄想キチガイ女

 

俺のヒカルのイメージだが

これを誰かに話しても

 

俺がおかしいように思われるので

自分の内に収めるようになった。

 

俺にしかわからない

多面性を持つ女・・

 

ガチャ ガラ ガラ ガラ

 

外側から鍵が開き

廊下側の放送室の戸が開いた。

 

あれ?教頭・・

 

顔を覗かせたのは教頭だった。

 

教頭がなぜ?

 

「雨宮先生・・ここでなにを・・」

 

「ヒカルがイマス! キケンデスニゲテクダサイ」

 

教頭の後ろからヒカルが顔を出し

放送室に入って来た!

 

は・・はやい!

 

ヒカルは立っている雨宮との間合いを

一瞬で詰めた!

 

ケンシロウ VS サウザー

といったところか!

 

バチッッ! 肉の音が響いた。

 

立っていた雨宮の顔を

ヒカルがビンタしたようだ!

 

反射的に避けた雨宮のアゴに当たった

ようで、ぐらついた雨宮が

 

さっきまでSEXしていた

布団の上に踊るように倒れた。

 

脳が揺れているのか・・

 

マイク・タイソン VS トニー・タッブス

といったところか。

 

「シンジはどこよ? あぁ・・」

 

腕を前で組み見下ろすヒカル

 

ビックリする雨宮・・

 

アカーン アカンでー

 

「なにするんだ!前島さん・・」

 

とりあえず、言葉で止める教頭。

 

ゆっくりと立ち上がる

雨宮・・

 

「なにすんのよ・・・このメスネコが―――ッ!!」

 

雨宮のリーチの長い遠心力まかせの

ビンタがヒカルの顔面を捉えた!

 

肉音

 

ギャ―――――ッ!!!

 

吹き飛んで

折り畳み式テーブル前の椅子に

体ごとぶつかった。

 

倒れる椅子

 

ずれるテーブル

 

見下ろす雨宮

 

苦痛に歪むヒカル

 

アカーン アカンでー!

 

俺は暗闇の中

 

キャットファイトを傍観する

 

子犬のようにブルブル震えていた・・