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・偽りの感情



「ちょ、のやさん!?」

なにも返事もなくただ西谷に引っ張られるだけ。

そしてたどり着いた場所は

「屋上?なんでわざわざ?」

「人が多いと色々めんどくさいからなー」

「のやさん何かあるの?どうしたのー?」

「龍についてだ。なんで喧嘩したかわからないが、仲直りしてくれないか?あいつスゲー落ち込んでてよ...」

西谷の顔から凄くつらいことが伝わってくる。

「ごめんね、私もそんな怒るつもりなかったけどムキになっちゃったんだ...」

「いやいや、それならいいんだ!二人幸せにな!」

「うん!のやさんありがとう!」

「...っ。」

あまりにも美しい笑顔に顔を赤くする。

「のやさん...?」

「な、なんでもねぇよっ!」

「のやさんまでおこるのー!?やめてよー」

「な、なわけないだろ!俺はそろそろ教室に帰る!」

西谷が屋上のドアの前で立ち止まり

「“のやさん”じゃなくて“夕”って呼べよ!龍ばっかりずるいからな!!」

そういってあわてて出ていった。

「なんだったんだろう?」





(龍の彼女...あんなにかわいかったっけ?性格も良すぎだろ...)





「香織大丈夫?」

教室に帰ると影山が声をかけてきた。

「全然大丈夫だよー!のやさんじゃなくて夕はスッゴクいい人!」

ニコッと名前を呼び間違えながらも笑う。

「夕...?」

すぐに影山は察しがつく。

何かあったに違いない。

「なぁ、なにかあったんだろ?」

「ん?なにもないよー」

香織は田中と喧嘩したことを言いたくない様子。

「嘘」

影山の言葉にはとげがある。

冷たく刺さるような言い方。

「影山くんまでおこるの?」

「までって...それはもーいい。なんで俺だけ呼び捨てじゃないんだよ...飛雄ってよんでよ...」

おこったりかなしんだり、感情の変化がコロコロとある。

「ふふふ!なーんだ!嫉妬かぁー!」

「な、なわけないだろ!」

顔を赤くしたせいか、照れてるのはバレバレ。

そんな影山は香織から目をそらし、恥ずかしさのあまり黙る。

教室は少しざわついていて他の人には聞かれてないだろうか、と心配になる。

「飛雄っ」

あまりにも突然だったので驚きを隠せなかった。

「なっ、?な。!!?」

「そんなに驚かないでよー!飛雄だって私のこと伊藤って呼ぶとか言っといて香織って呼んでるじゃん?」

「う、うるさい...っ!」

「またー、かおまっかにして分かりやすいんだな~っ!」

香織は影山の扱いがわかってきたようだ。

そんな二人をずっと見つめている明日香がいた。









「ナイス影山!」

体育館に響くバレー部の声。

いつも以上に調子がいい影山に不思議だと日向は思っている。

機嫌もよくすこし顔の筋肉が緩んでいる。

「ねぇねぇ、田中さん。今日の影山気持ち悪くないっすか?」

「た、たしかにな...。にこにこって言うかにやにや?」

「おー!龍ー!!香織になんとかいっといたからなぁー!」

突然割り込んでくる西谷にありがとうと田中は笑って言う。

日向は影山と西谷と田中の顔を見てみんな同じような顔してるなーっと思った。

「なんかみんな気持ち悪いなぁー」

日向の横から菅原がにこにこしてきた。

「スガさん!みんなにやにやしてて怖いんですよー!」

「みんなしていいことあったのかー?」

『ありません!!!!』

そういいながらも顔が赤い影山。

にやにやが止まらない田中。

やたら目が泳いでる西谷。

こりゃ絶対何かあったな。

「たく...俺の後輩たちは」

「人を好きになる理由っていりませんよね?」

「ん?日向どうした?」

「例え好きな人が友達の彼女、もしくは先輩の彼女だからって俺は引く理由がわからない。...です」

突然の日向に驚きを隠せない。

それは俺にいってるのか?とかすこし思ってしまう自分がいた。

「日向、それは誰に向けてのメッセージだ?」

「えっ、ぁぁ!えっと...ただ思っただけです!調子のってすみません!!」

「いや、ありがとな!すこしゆ浮き出てきた」

「??」

(日向のお陰で勇気が出てきた...誰を好きであろうと自由だし、アタックするのも自由だな!俺...がんばろ)