橋本愛喜「やさぐれトラックドライバーの一本道迷路」 | やっぱJ-POPが好き 自己満日記

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J-POPと本が好き。水着が食い込んだアイドルの尻はもっと好きです。週末は図書館をうろちょろする、ケチで自由な独身のオッサンです。もちろん友達はいません。

高い木に登って木を切ったり、切った枝を片づけたりと、植木屋として庭仕事をしていると、トラックドライバーさんを羨ましく思うときがある。こっちは危険でかつ重労働をしているのに、ドライバーさんはちょっと薄給なのかもしれないけれど、トラックのなかで好きな音楽やラジオを聴いたり、旅行気分で遠方に荷物を運んではご当地グルメを食べたり、日々を満喫しているよなぁ…などと妄想してしまうからだ。ドライバー(運送)業界の内情などほぼ知らないくせに、そんなオイシイことを勝手に妄想しては、「転職するならドライバーっしょ」と安直に考えてしまう。

 

トラックドライバーさんの実態・実情・内情をもっと知りたい。そんな思いから手に取った「やさぐれトラックドライバーの一本道迷路 現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます」は、元トラックドライバーで「貧乏暇なしやさぐれライター」と自称する橋本愛喜さんが、「トラックドライバーがどんな状況で、どんな人たちなのかを知ってもらう足掛かりにしてもらえたら」という思いで綴った一冊だ。

 

時間に拘束されやすかったり、荷下しをすることもあったり、なかなかの激務であるというドライバーさんの闇の部分は、今まで噂でしか耳にしたことはなかった。ただ、その内情を橋本さんの明るいトーンで、わかりやすく知ることができ、勉強になった。

 

興味深かったのは、トラックドライバーさんには、50歳前後とみられる人でも歯がなかったり、歯に何らかの問題を抱えている人が多いという話だ。理由は、家に帰れないからだという。長距離ドライバーさんは1週間、長い場合は2週間以上帰宅できず、そうなると歯が悪くなっても歯医者には定期的に通うのは難しい。結果、歯がなくなってしまうのだ。以下、本書より抜粋。

ようやく地元に戻って来て、またすぐに次の運行があるという状況で、小さな虫歯程度で歯医者に通うトラックドライバーは、私は聞いたことがない。むしろ「そもそもたまの休みに病院なんか行ってたら本当に病気になる」とか言う人までいる。そのため、歯の治療は「内臓が悪くなったわけではない」「運行にそれほど支障がない」という理由からほったらかしにされやすい。だから、トラックドライバーには年齢にかかわらず、歯がない人が多いのだ