毎日暑いですね。暑さは日本ばかりではなく、サウジアラビアでは気温51.8度の酷暑でメッカの大巡礼者1,000人以上が熱中症で死亡したそうです。メキシコでも死者45人と世界各国猛暑による死者が続出しています。東海や関東もいよいよ梅雨入りしました。これからは蒸し暑くなりますので熱中症に要注意です。

 

 NHKの大河ドラマ「光る君へ」にも出てくる御所車と桜、いわゆる花車文様が見込みに描かれた非常に薄手の茶碗です。裏面は切枝桜が配置されています。器形からして高貴な公家や大名の女性が使用したお歯黒道具の「うがい茶碗」です。

 お歯黒は歯を黒く染める化粧法で明治初年まで行われました。お歯黒の説明については古美術№2(本年3月23日公開)を見ていただきたいと思います。お歯黒の定着を良くするために、お歯黒を塗る前に房楊枝(歯ブラシ)等で歯や口内のゴミ を取り除いたり、お歯黒水や五倍子粉(フシコ)を塗った後に口の中を漱ぐためにうがい茶碗が使われました。

 鶴田純久氏によれば、中国から渡来した天目茶碗がよくうがい茶碗に当てられたことが諸茶書に出ているそうです。今回紹介した茶碗もそうですが、磁器のうがい茶碗は天目茶碗の器形に似たものが多いようです。

 通常の平茶碗との違いは、うがい茶碗は外側面よりも見込み内の絵の方が中心(上手)に描かれています。

 口径14.1㎝×高5.5㎝×高台径4.5㎝

 

※ 御所車に梅、桜、杜若、藤、剥ぎなど四季の草花を配置した文様を「花車文様」といいます。また、御所車は平安時代の貴族の乗り物「牛車」の俗称で富と権力、雅を象徴する文様ですし、車は回り続けるということで永遠を表す吉祥文様として喜ばれてきました。