時代物(江戸又は明治期)の鉄製色絵象嵌饅頭根付です。鉄の素地を鋤出彫りし、そこに真鍮及び素銅を使用して山水楼閣人物文を高肉象嵌しています。

 私は現在、信玄袋(手提げ袋)の根付として愛玩しておりますが、以前は肥後象嵌の短刀鐔を現代金工に細工してもらい根付として使用していました。しかし、10年ほど前に友人が剣道8段審査に合格したため、鐔の根付はお祝いとしてあげてしまい、それ以降はこの饅頭根付を愛用しています。

   裏には「正明工」と線彫りで銘が刻まれています。多分、正阿弥系統の金工と思われますが、何派の金工なのか詳細は分かりません。分かる方おりましたら教えて下さい。


 

 直径39㎜×高24㎜

 

※ 金工「正明」については「刀装金工事典」によれば幕末から明治にかけて、横山正明(福島県)、登水軒正明(水戸住)、富士正明(江戸住)、東都住正明(江戸住)、佐原正明(東京市)、榎本正明(東京市)、因州・長州萩住正明(鳥取及び萩住)などが確認されていますが、いずれの金工の作かは不明であります。