数日続いた雨が止み、急に春めいた暖かな陽気になりました。今日は朝から風もなく穏やかです。静岡の桜は開花宣言はまだですが、来週末には静岡まつりと浅間神社廿日会祭が行われます。この頃には満開になるでしょう。

  

   八角に面取りされた各面に染付と色絵で唐花つなぎ文が端正に描かれています。以前、鍋島№10 盛期盛期藍鍋島蔦文六角向付を紹介していますが、こちらは八角で色絵は赤の単色です。

 御覧の通り、染付と色絵のバランスがとれた優美な向付で、色絵も染付も輪郭線から一切はみ出しておりません。また、器体はとても薄く造られていて盛期らしい厳しい造形であります。 

 平成20年暮に小木一良先生から「事情があって鍋島や初期伊万里、柿右衞門等の所蔵品を手放したいコレクターがいる」と紹介され、それならばと、翌年夏に伊万里愛好仲間とともに何点かの作品を購入させていただいたうちの一点です。

 「鍋島 向付と小品」(服部俊一著 創樹社美術出版)や他の書籍にも同器形の作品が掲載されておりますが、鍋島焼に限らず、向付や皿などは通常20客を1組として焼成するといわれますので、所蔵されている方も多いのではないかと推測しています。

 

 

 口径9.8㎝×高6.4㎝×高台径3.㎝