今週水曜日、6回目のコロナワクチン注射をして来ました。翌日は腕の痛みと倦怠感があり、午後からは寝てしまいました。今月初めはインフルエンザの予防注射、色々言う人もいますが、歳も歳ですので可能な予防は実施しておきたいとの思いです。 

 

 今回は、かなり漆が剥げていますが全体に黒漆が施された目明十手です。黒漆の塗り十手は№24(地方藩役人十手)で紹介しておりますが、現存するものは漆が完全に剥げた十手がほとんどです。

 「十手 破邪顕正の捕物道具」(谷口柳造著)によると、黒漆が塗られた十手は高崎藩及び仙台藩で使用されていたとのことですが、135頁に高崎藩十手として掲載されている目明十手に酷似しておりますので、確証はありませんが、名称を「高崎藩目明十手」とさせていただきました。著者の谷口さんは、これら黒や赤の漆が塗られた十手を「塗り十手」と仮称されています。

 20年程前に静岡市内の古美術店で10本まとめて購入した目明十手の内の1本です。「掛軸を売却した際にお客さんから下取りしたもの」との店主の言であり、残念ながら出所元は不明です。

      

      長さ35.6㎝ 重さ255g   鉄八角形黒漆塗り棒身 丸形黒漆塗り握柄

                       鉄鈎 楕円形鉄紐付け鐶

 

【十手の素材、形状等】

➀ 素材 刀と同様の玉鋼の鍛え鉄製から、野鍛冶の打った鉄製、更には真鍮(素銅)製、訓練用や村の見回りのための木製十手

 などがあり、これに銀流し(メッキ)、銀張り(被せ)、黒・赤漆塗りなどが施されたものがあります。目明・岡引などのピカ

 ピカした鉄の十手は、使用の都度、乾燥木賊で磨いて錆が出ないように手入れをしていたそうです。

② 棒身 丸形、六角形、八角形棒身が多いですが、四角形、三角形、楕円形、平形棒身などもあります。形状も先太、先細、立

 鼓(中細、竜虎ともいう)形があります。

③ 握柄 柄は棒身と一体のものや真鍮などを着せて太く握り易くしたものなどがあり、握り易さを追求したものには、籐巻き、

 鮫革巻き、琴糸・絹糸巻き、革紐巻き、金唐革巻きなどのほか、衝撃吸収のため木柄を嵌めたもの、刀の柄巻きを施したものも

 あります。

④ 鈎の接合 鈎はかしめ留めで取り付けられたものが多いです。これは棒身の手元附近に片方を大きく、反対側を小さく四角に

 開けたホゾ穴に打ち出した鈎の横手接合部が熱く軟らかいうちに狭い方から嵌め込み、はみ出した部分を鍛接しながら接合しま

 す。江戸町奉行所の官給十手は、接合部を棒身裏に出さず、棒身の中で楔を打ち込んで接合部を防振の中で開いて固定する高度

 な技術(中かしめ)が用いられています。

  関西十手は、鈎の接合部を太鼓胴のように鐶にしたものを棒身に通して叩き締めた構造です。

⑤ 鈎の種類 鈎の形状は前方向きの片鈎のものが一般的ですが、左右に二つある双鈎、三つある三方鈎、四方鈎、卍鈎、十字鈎

 などもあります。鈎がないものは萎えし(無鈎十手)、鐔が付いたものは鐔十手と呼称されています。