表題にもありますように将軍お好み12品のうちの1点です。お好み12品については、これまでも№12(牡丹絵中肴鉢)、№18(山水絵長皿)で紹介しております。

 将軍お好み12品は安永3年(1774)、10代将軍家治の時、佐賀藩に絵柄・器形12品が示され、将軍お好みの品として特別注文されたもので、毎年の鍋島献上品の中に必ず2、3種を含めるように指示されました。器物の名称は、古文書に残るこの時の名称をそのまま使用しております。

 作品は、隅入方形皿に遠山楼閣山水文が描かれたものですが、幕末までの長い期間製作されましたので、時代によって絵柄や濃みの手法が少しずつ変化しております。また、裏側面のカニ牡丹文の葉が写真②は30枚ですが、時代が下がると26枚になります。この作品(30枚)は比較的古く、安永かそれに近い18世紀後半の作品と考えられます。

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 辺径14.5㎝×高3.5㎝×高台径9.6㎝

 

 ただし、本作品には以前から偽物が多く出回っています。写真③が本物で写真④は偽物です。写真が見にくいですが違いが分かるでしょうか。

 全体的な描き方の丁寧さの違いもありますが、一番の違いは床下の根太(大引き)です。写真③の床束(柱)の間を見てください。材木の端が四角になっていますが、写真④はそこが手抜きをされています。その他にも細かい部分は色々ありますが、屋根の上、大棟の向こう側の鴟尾の位置がずれています。偽物のほとんどが近年中国で作られているようです。

③ ④