明日から10月というのに暑いですね。一昨日、静岡市は全国一の36度という猛暑日でした。毎日午後に小学生の下校時の見守り(安全)パトロールをやっているのですが、立っているだけで汗が噴き出して来ます。それでも吹く風は確実に秋を感じさせてくれます。

 

 写真は明治期の十手です。六角の真鍮棒身にクロムメッキが施されています。紡錘形の握柄には江戸時代と同様鮫革が巻かれています。明治期の十手は「新案実用願」の番号が刻印されていることで分かります。

 明治維新になり警視庁の警察官に採用された元町奉行所同心等は江戸時代と同様「密偵」と呼ばれる人達を使っていました。このような人達が使用したのかも知れません。

 ところで十手の起源は諸説ありますが室町時代だと言われております。それでは十手はいつ頃まで実戦の場で使われていたでしょうか?

 それは昭和40年代の中頃までです。警察官それも殺人や泥棒を捜査・検挙する刑事一課の刑事等が所持していました。私が若い頃、ズボンのバンドの背中(背広の中)に差しているのを何度か見たことがあります。現在の制服警察官が常時携行しているような特殊警棒といわれる伸縮性の警棒が普及する以前は一部の刑事は十手を所持していました。私服の刑事は普段は拳銃等は携行しません。代わりに捜査中に犯人に遭遇しても困らないように護身制圧用具として十手を所持していました。

 長さ41.0㎝×重さ395.8g

 真鍮芯クロム塗り六角棒身 丸鐔真鍮鈎 鮫革紡錘形握柄

 丸形紐付け鐶 鈎裏に「新案実用願二四〇六」の刻印あり

 

※ クロム(メッキ)は光沢があり、硬く耐食性があります。蛇口や流し台、ゴルフのアイアンヘッドなどに使用されています。

 鉄、ニッケル、クロム(10%以上)を含む合金をステンレス鋼と呼びます。