盛期鍋島(1670~1700年頃)の色絵(色鍋島)竜田川文五寸皿です。我が国磁器の最高峰といわれる鍋島の中でも最盛期の作品です。店頭に並べば当然?00万円の値札が付く代物です。水面に漂う紅葉を描いたものですが、水流は墨弾き技法(墨弾きは鍋島焼№3参照)がとられています。

 水流と紅葉で竜田川、水流と桜は吉野川と呼称されますが、生駒山を源流とする竜田川は紅葉の名所で、百人一首「ちはやふる神世も聞かず竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」(在原業平)で知られています。

 また先週(7月5日)、川の水が緑色に染まったことでも話題となりました。

  

 口径15.0㎝×高4.5㎝×高台径8.1㎝ 

 

 下の紅葉を見てください。2.5~3.0㎝の一葉にこのように細かい葉縁が描かれているのです。また、水流の白い線が墨弾き部分です。裏側面の七宝紐繋ぎ文の紐や高台櫛目を見ますと輪郭線の中にダミ塗りがされていることが分かります。これが盛期鍋島の特徴(鍋島焼№1・№19・№20参照)です。

  

※ 鍋島焼の竜田川文皿は、近年偽物が出回っていますので購入する際には十分な注意が必要です。