後期藍鍋島の5寸皿です。
器体口縁に16の捻りを加え、その捻りに陽刻で巻雲文を装飾していて、見込み中央には宝珠を追う鳳凰を円形に描いています。
裏面の高台櫛目文は輪郭線で描いた中にダミ塗りがされていますが、側面の一つ七宝紐繋ぎ文の紐は一筆描きで輪郭線が描かれておりません。
今から18年前の平成17年7月、静岡駅前の小梳神社蚤の市で、蘭文3寸皿5客とともに購入しましたが、数物の蘭文皿と比べると安い値段で購入することができました。
10年ほど前までは、蚤の市や県内の古美術店でも後期鍋島皿等を見かけることがありましたが、最近は人気があるのかほとんど見かけることがなくなりました。
盛期鍋島の時代(1670~1740年頃)から左程遠くない宝暦・寛政期頃(1750~80年代)に製作された作品です。
口径14.7㎝×高4.0㎝×高台径7.8㎝
※ 鍋島焼の盛期と後期の違いについては、一般の方が絵柄の描き方の精緻さと粗
略さなどから盛期と後期の違いを判別するのは大変難しいです。いくつもの作品
を実際に手に取って見て覚えるほかにありません。
一番簡単な方法は裏面です。盛期は高台櫛目文及び七宝紐繋ぎ文に輪郭線が描
かれているのに対し、後期は一筆描きで輪郭線がありません。また、後期特有の
「かに牡丹文」や「羊歯葉様文」が描かれています。
上記説明のように裏面文様が輪郭線描きと一筆描きの混合は、盛期から後期に
移行した直後くらいの作品に見られるひとつの特徴です。