私が10数年前、退職の記念に大金をはたいて購入した盛期鍋島の五寸皿です。
高台脇を数センチ平らにとり、そこから口縁まで器体を外反りさせている。表面には蘭と何の花卉か分からないが、リボンで結んだ花束で皿の縁三方を囲み、間を七宝唐花文の窓絵で仕切っている。
300年前のものとは思えない、現代にも通用する非常に洒落た格調の高い意匠である。類似の意匠として「染付蘭撫子文輪花三方割皿」が伝世(佐賀県立九州陶磁文化館蔵)している。
本作品の色絵素地陶片は鍋島藩窯跡(伊万里市)から出土しているという。
鍋島の時代識別については、第3回でおおよそのところを説明していますが、本作品は盛期鍋島の中でも若干時代が下がり、宝永・享保期(1700~30年代)頃の作品であると推測しております。
口径14.6㎝×高3.9㎝×高台径7.8㎝