著作権はどのような作品に及ぶべきかという難問に挑んだ書籍です。

 

作品どうしを「似ている」と判断する基準は何か、類似性要件についての検討に始まり、「著作権の保護範囲をどのように画するべきか」「後行作品に著作権を及ぼすことは、どのような根拠によって正当化できるのか」という著作権制度の根幹をなす問題にまで射程を広げ、解明を試みたそうです。

 

若手法学者による力作と思われます。

 

「著作権はどのような作品に及ぶべきか」という難問に挑む

 作品どうしを「似ている」と判断する基準は何か、そもそも先行する作品と似ている作品が創作されることは何が問題なのか、といった類似性の問題は、線引きが難しく、議論も複雑化しています。
 本書は、このような類似性要件についての検討に始まり、「著作権の保護範囲をどのように画するべきか」「後行作品に著作権を及ぼすことは、どのような根拠によって正当化できるのか」という著作権制度の根幹をなす問題にまで射程を広げ、解明を試みます。後行作品における先行作品の利用態様を競合的利用と改作的利用に分類した上で、心理学や経済学の知見も駆使しながら探究する野心作!

【目次】
第1編 はじめに
第2編 従来の議論とその問題点
 第1章 第2編の前提と構成
 第2章 日本における議論状況
 第3章 米国法における類似性判断枠組み
 第4章 第2編のまとめ
第3編 著作権を及ぼす正当化理論
 第1章 狭義のインセンティヴ論
 第2章 広義のインセンティヴ論
 第3章 誤訳のおそれ論
 第4章 過剰投資防止論
 第5章 その他の正当化理論
 第6章 第3編のまとめ
第4編 著作権の保護範囲
 第1章 保護範囲画定の判断枠組み
 第2章 解釈論上の位置付け
 第3章 第4編のまとめ
第5編 本書の議論のまとめと展望
数学的補遺
参照文献一覧/事項索引/判例索引