知的財産推進計画2024の原案には、創作物にAIを利用したとしても、人間を「発明者」とするべきだとの見解が明記されたそうです。読売新聞が報じています。

 

一昨日、早稲田大のRCLIPでもAIの発明者適格性の議論がありましたが、AIを発明者にすべきというパネリストは、ほとんどいなかったように思います。

 

AIを使って発明を完成した場合であっても、特許出願をする、企業へ特許を受ける権利を譲渡するといった判断は結局、人間が行うのですから、AIを使って発明した人が発明者ということで大きな問題はないように思えます。

 

対して著作物の場合は、事情が大きく異なります。

生成AIは休みなく、次々と文章や画像など著作物を生成できます。

 

しかし、知財戦略本部では、文化庁文化審議会の小委員会が3月に公表した著作権法の解釈の明確化を図る「考え方」の「周知啓発を行う」にとどめ、著作権法改正には踏み込まなかったとのことです。

 

 政府の知的財産戦略本部(本部長・岸田首相)が近くまとめる「知的財産推進計画2024」の原案が判明した。創作物にAI(人工知能)を利用したとしても、人間を「発明者」とするべきだとの見解を明記した。現在の不正競争防止法で保護されていない俳優や声優らの声について、考え方を整理することも盛り込んだ。

 

原案は、現在のAIの技術水準では「AI自身が、人間の関与を離れ、自律的に創作活動を行っている事実は確認できない」と指摘し、「自然人の発明者を認定すべきだ」とした。

 

 同様の見解は、司法の場でも示されている。東京地裁は今月16日、AIを発明者とする特許出願を特許庁が却下したのは違法だとして、米国人の技術者が国を相手取って却下処分の取り消しを求めた訴訟で、「特許法が規定する『発明者』は自然人に限られる」として請求を棄却した。

 

 一方、原案では、AI技術の急速な発展で自律的に発明の特徴的な部分を完成させることが可能となった場合に備え、発明の保護のあり方に関し「技術の進展や国際動向、ニーズを踏まえながら検討を進める」とも記した。

 

 生成AIと著作権については、文化庁文化審議会の小委員会が3月に公表した著作権法の解釈の明確化を図る「考え方」の「周知啓発を行う」とするにとどめ、著作権法改正には踏み込まなかった。