日経XTECHに「2023年の特許出願は30万件超、これは良い兆候かもしれない」という記事が掲載されています。

 

2019年以来、4年ぶりに30万件を超え、2022年より1万件以上増加し、2023年に増えたのは(PCT以外の)国内出願とのことです。

特許出願数が増えるということは、技術開発が活発になったということなので、良い傾向と思います。

 

ある知財専門家の「量の方が大事なのは明らかなのに、質が重要だと弁理士や企業の知財部員さえ思い込んでいる」というコメントもその通りかと思います。

 

国内出願数が増えたのは、ソフトバンクによる生成AI関連技術の大量出願が原因です。

9月までに1万件以上を出願しています。これから、この何割かがPCTなどで外国出願もされるのでしょう。

 

なお、このXTECH記事では、出願数を増やすために、AIを使って書類作成や翻訳などを行うことを勧めているように読めます。

しかし、重要なのは見かけの出願数を増やすことではなく、技術開発を活発化させることです。これが本質です。

 

生成AIを使って、矛盾だらけの出願や、技術的な意味の薄い特許出願をいくらしたところで、我が国の発展には結びつかないでしょう。

 

 4月18日は「発明の日」であるとご存じだろうか。1885年(明治18年)4月18日に現・特許法の前身の「専売特許条例」が公布されたことを記念し、1954年に通商産業省(現・経済産業省)が制定した。特許庁では発明の日に際して、ポスターや動画などを公開している。

 発明の日を制定した目的は「特許制度をはじめとする産業財産権制度の普及・啓発を図ること」。そこで、今回は特許について考えた。ちょうど2024年3月末に特許庁が2024年版の「特許庁ステータスレポート」を公開した。同レポートは、特許に関する1年間の国内外の統計情報や、特許庁の政策の成果をまとめたものだ。同レポートを基に2023年の特許動向を探った。

 

4年ぶりに出願件数30万件超え
 2023年の特許出願件数(出願日ベース)は3年連続で増加し、2019年以来、4年ぶりに30万件を超えた。2022年より1万件以上増加した。今回の出願件数の増加は、今までと事情が異なる。これまで増えていたのは主に国際特許出願だ。しかし、2023年の国際特許出願は7万5600件で、2022年から横ばいだった。2023年に増えたのは国内出願(国際特許出願を除く特許出願)だ。2022年から1万件以上増えた。

 

 2022年まで国内出願は減少傾向にあった。2013年は約27万4000件だったのに対し、2022年は約21万4000件と、10年間で約6万件減少していた。

 2023年に国内出願が急増した理由は何か。特許庁に問い合わせたところ、出願件数が増えた分野は情報通信分野だった。同分野には、技術進歩が著しいAI(人工知能)が含まれている。ただし、国際出願ではなく国内出願が増えた理由については同庁もまだ分からないという。


 国内出願が増えた理由の1つとして考えられるのは、中小企業による出願の増加だ。日本の中小企業による特許出願件数の推移について、2024年版のレポートには2022年の実績までしか記載されていない。ちなみに、2022年は約3万9600件で、2021年から約1800件増だった。最近の特許庁は中小企業やスタートアップの支援に積極的だ。同レポートにもスタートアップの支援について多くのページが割かれている。中小企業やスタートアップの特許出願増が全体の出願増に寄与した可能性はある。

 

ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)の孫正義会長兼社長は10月4日、グループの年次イベント「SoftBank World 2023」の講演に登壇し、企業の7割超が生成AI(人工知能)の活用を禁止(もしくは禁止を検討)している日本の現状に対して、「どうなっているんだ日本は。使っていないだけならまだしも、禁止しているという状況は甚だ問題である」と苦言を呈した。

また、同社グループ全体で生成AI関連の特許をここ数カ月で1万件以上出願していることも明らかにした。