2024年4月1日より、ニデック(日本電産)の社長がソニー出身の岸田氏に交代しました。

岸田氏はニデックの副社長でしたが、社歴2年強です。

 

三たび、有名企業出身者を社長へ据えることになりました。

 

そして、永守氏は新体制発表に伴って代表権を返上するはずでしたが、海外のM&Aには代表権が必要という理由で代表取締役に留まりました。

 

ニデックは永守氏が創業した会社です。

社長が創業メンバーの小部氏から岸田氏へ交代しただけで、何も変わってないように見えます。

 

ニデックは指名委員会を作り、永守氏の一存でトップを決められないようにしたと言っています。しかし、創業者が社長へ無理難題を押し付け、辞任させることは可能です。

 

むしろ、「業績不振は全て自分の責任だが、自分の会社なのだから、死ぬまで代表取締役会長を続ける。」と宣言したほうが、他人へ経営責任を押し付けるよりも、堂々としていて良いように思えます。

 

 ニデックの長年の課題だった後継者問題は決着するのだろうか。2月14日、4月1日付で副社長の岸田光哉(64)が社長に就く人事を発表した。最高経営責任者(CEO)の座も、創業者の永守重信(79)から岸田に譲る。

 永守は今後も代表権を持ち、新設されたグローバルグループ代表として成長の要となるM&A(合併・買収)を主導する。
 永守の番頭を自任する社長の小部博志(75)は代表権のない会長になった。後継者問題は今度こそ決着を見るのか。

 

 

 一流企業のエリートを引っ張ってきて後継候補に据えるという手法は、これまでのやり方とまったく変わらない。


 昨年3月の時点では「新体制発表に伴って代表権を返上する」と言明していたが、この約束を完全に反故にし、永守は代表権を持ち続けることになった。これではニデックの表紙はまったく変わらないことになる。「海外のM&Aには代表権が必要」というのが代表権を持ち続ける理由だが、説得力に乏しい。ニデックのドン、永守体制は不変なのだ。

「業績を上げてくれ。株価を上げてくれ。言いたいことはそれだけだ」としているが、思い通りにいかなければ、いつでも強権を発動できる。

 

 永守重信グローバルグループ代表の現状を一言で言うなら、カリスマ経営者が自動車メーカーのEV(電気自動車)シフトを読み違えて大きくつまずいたということだろう。

 1月24日に2024年3月期の第3四半期決算(国際会計基準)を発表。これに併せて24年3月期通期の売上高を2兆3000億円(前期比2.5%増)と従来計画比1000億円上方修正する一方、営業利益は同400億円減の1800億円(同80.1%増)、純利益は同300億円減の1350億円(同3倍増)に下方修正した。2年ぶりに最高益を更新することもなくなった。

 

 

 創業者は焦っている。株価(4月9日終値6157円)を昨年高値の8706円(23年7月24日)に戻すことだ。客観的に見て、経営者(=永守)の信用が失墜してしまった今は、この目標の達成はかなり難しい。

 会員制情報誌は「岸田はイーアクスルの後始末のために据えたのではないか」との外部の声を拾っているが、永守の胸の内は誰も知らない。