アパレル企業のTOKYO BASEが、新卒採用の初任給を従前の30万円から一律40万円に引き上げ、話題になっています。

ただし、初任給40万円には、固定残業代80時間分が含まれています。

 

当初、残業の多い会社のため、固定残業代80時間分を支給するのかと思っていました。

しかし、理由はむしろ残業をもっと減らすためとのこと。

 

その理屈は、月に10時間残業しても70時間残業しても給料は同じだから、当然効率のいい方を選ぶだろうという判断に基づくそうです。

 

なかなかユニークで、面白い考え方です。

特許事務所など成果が問われる仕事にも合うように思います。

 

ただ、広報が上手くなく、誤解を招いたように思えます。

 

日本一のファッション企業を目指す
――ファーストリテイリングを超える「初任給40万円」は業界内外で話題になりました。

初任給の数字だけが独り歩きしているが、給与のミニマムラインとして初任給30万円から40万円になったというだけ。既存社員に対してもベースアップしている。

今期で17期目、上場10年目を迎える中で、会社の理念やビジョンに合った人材を採用していくために、手段の1つとして初任給を上げた。

当社は「日本一のファッション企業」を目指している。「日本一」というのは具体的に、(日用品アパレルのユニクロや無印良品を除く)中価格帯以上のファッション企業の間で日本一になりたい、ということだ。日本一の企業になるためには、日本一の給与形態でなければいけないと考えた。

もう1つの理由は、当社は香港・中国でも店舗を直営展開している。5月にはニューヨーク初出店を控えているが、グローバル基準で初任給40万円が高いかといったら、決してそうではない。ニューヨークで初任給40万円と言ったら、もしかすると低い部類に入るかもしれない。初任給40万円というのも、この先さらに上げてグローバル基準に合わせたい。

 

――初任給40万円のうち、17万2000円は80時間の固定残業代となっています。そのくらい業務量が多いということですか。

残業80時間ってやったことありますか? 経験した人ならわかるだろうが、残業80時間は100%無理。続けると1カ月くらいで疲弊してしまう。

なぜ固定残業80時間にしたかというと、むしろ残業をもっと減らすため。月に10時間残業しても70時間残業しても給料は同じだから、当然効率のいい方を選ぶだろうと。

そもそも、うちは時間でお金を稼ぐという概念がない。すべては成果、つまりお客様の評価で決まる。一部の若いスタッフや、デザイナー・制作などのクリエイティブ職は長時間労働になりがちだが、「時間を使ったからえらいね」といった評価軸はない。

月の平均残業時間は、販売スタッフが10~20時間、本社スタッフも多い人で40時間だ。僕も社内で残業時間が長い人をたまに見かけるが、そういう人ほど成果が出ていない。