先週、八丁味噌の老舗業者がGI登録された「八丁味噌」は伝統的製法と異なるなどとして、国に登録の取り消しを求めた訴訟が、最高裁で棄却され、登録維持が確定しました。

 

老舗業者は「長年守ってきた八丁味噌ブランドを名乗れなくなり、多大な不利益がある」と主張していましたが、混同防止表示をすれば八丁味噌を名乗れるとのことですから、あまり実害はないようにも思えます。

 

GI登録された近代的製法で生産された味噌が伝統的な製法と異なるとしても、食文化は時代とともに変化し、既に多くの人が受け入れているのですから、製法が異なることを理由にGI登録の抹消を請求するのは、適切ではないように思われます。

 

 農林水産省が地理的表示(GI)保護制度に登録した愛知県の豆みそ「八丁味噌(みそ)」は伝統的製法と異なるなどとして、同県岡崎市の老舗業者「まるや八丁味噌」が国に登録の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は、原告側の上告を棄却する決定をした。6日付。訴えを却下した一、二審判決が確定した。

◆「名乗れなくなる」と提訴
 農水省は2017年、県全体を生産地とし、近代的製法で生産する業者組合の八丁味噌を保護対象に認定した。別の組合で、八丁味噌発祥地の岡崎市で生産する原告側は「長年守ってきた八丁味噌ブランドを名乗れなくなり、多大な不利益がある」と主張。農水省への行政不服審査請求を経て提訴した。
 確定した一、二審判決は「登録商品との混同を防ぐ表示などをすれば名称は使用できる」と指摘した。ただ、提訴できる期間が過ぎていたとして登録の取り消しを求める訴えは却下した。

 

 GI保護制度は国が知的財産として地域の伝統的な生産品の名称やブランド価値を守る仕組み。「但馬牛」(兵庫県内)や「夕張メロン」(北海道夕張市)などがある。まるやは敗訴確定に伴い、2026年2月以降は自社製品に「八丁味噌」の名称が自由に使えなくなる。

 ただ確定判決は、製品にGI登録品との混同を防ぐ表示をするなど適切に対応すれば、26年2月以降も「名称を使用できる」としている。

 二審知財高裁判決によると、農水省は17年12月、愛知県全域を生産地とする組合の八丁味噌をGI保護制度に登録。まるやが入る別の組合が、登録は違法として行政不服審査請求を申し立てたが、農水省は21年3月に退けた。