この話は知りませんでしたが、驚くべきニュースです。

作者に無断で黒い姿に変更されたネコのオブジェが、制作した現代美術作家の手で元の赤と白を基調としたデザインに戻り、東京・渋谷で再びお披露目されたとのこと。

 

設置から2年たったおととし夏ごろ、施設側がレストランの内装を変更した際(実際には経営母体が変更になり)、作者に無断で黒い姿に改変されたそうです。

 

このレストランはホテルの最上階にあり、渋谷の絶景を眺めながらオリジナルカクテルを飲める場所とのことで、経営母体が変わった際に、暗い店内に合わせてネコのオブジェを黒くしたのでしょう。

 

ただ、著作権法のことを知らなかったのは仕方がないとしても、ずいぶんと汚らしく見える醜い猫に変わり果て、センスが良くないと感じます。作者もさぞがっかりしたことでしょう。

 

アーティストへの敬意が欠けているのはもちろんですが、どうにも感性の鈍い人たちが改変したと思わざるを得ません。

法に無知な三井不動産も情けない。

 

おととし、作者に無断で黒い姿に変更されたネコのオブジェが制作した現代美術作家の手で元の赤と白を基調としたデザインに戻り、東京・渋谷で再びお披露目されました。

オブジェは4年前、現代美術作家の吉田朗さんが招き猫をモチーフにして制作し、東京・渋谷の複合施設に展示されました。
赤と白が基調となり、背中には「渋谷」の文字がデザインされていましたが、おととしの夏ごろ施設側によって無断で黒を基調としたデザインに変えられてしまいました。
吉田さんは著作権の侵害にあたるとしてオブジェを所有していた企業に抗議し、企業は謝罪しました。
オブジェは去年4月から、神奈川県相模原市にある吉田さんのアトリエで黒くラッピングされたテープをはがすなどの修復作業が行われ、3日、「渋谷ヒカリエ」のギャラリーでお披露目されました。

 

このオブジェは、大手不動産会社の三井不動産が現代美術作家の吉田朗さんに制作を依頼しました。
渋谷のシンボル・ハチ公像のように広く愛される存在になってほしいという思いからネコの姿にすることにし、外国人観光客を意識して日本らしさをイメージした赤と白を基調にしています。
4年前の2020年に渋谷区内の複合施設のレストランに設置され、当時撮影された写真にはオブジェの隣で笑顔を見せる吉田さんの姿が写っています。
しかし、設置から2年たったおととし夏ごろ、施設側がレストランの内装を変更した際、吉田さんに無断で黒い姿に改変してしまいました。
吉田さんはSNSを通じてまったく違う姿になったことを知ってがく然とし、「作者に無断で姿を変えるのは著作権の侵害にあたる」と施設側に抗議しました。
著作権ではアートを購入したとしても、著作者の意に反して内容を変えたり、デザインを変えたりできないという考え方があります。

 

東京・渋谷区の複合施設に展示されていた現代アートの作者が手がけた招き猫をモチーフにしたオブジェが、突然、黒を基調としたデザインに改変され、作者がオブジェを所有する企業に抗議する事態となりました。問題とされた「著作者人格権」という権利はどのようなものなのか、事態の経緯とあわせてまとめました。