昨日の日経朝刊1面に掲載された内容です。

古い映像作品や個人制作の動画・音楽など、権利者が分からない著作物の二次利用を容易にする制度が検討されています。

 

文化庁が相談に応じる一元的な窓口組織を新設し、利用者が権利者を把握していない場合、著作権管理団体のデータベースから権利者を探し、不明なら著作権使用料の相当額を窓口に納めれば暫定的に利用が認められるというものです。

 

古い映像作品や個人制作の動画・音楽など権利者が分からない著作物の二次利用が容易になる。文化庁は5日、利用者からの相談を受ける窓口組織を設け、一定額を支払えば速やかに許諾する新制度の素案をまとめた。流通の壁となっていた複雑な手続きを簡略化し、デジタルコンテンツ市場を活性化させる狙いがある。2023年通常国会への著作権法改正案の提出をめざす。

 

著作権は動画や音楽などの著作物を作った人に対し創作時点で自動的に与えられます。私的な使用での複製や入試問題への掲載は権利者の許諾がなくても利用できますが、デジタル配信など二次的な利用には許諾が必要です。最近では映画を無断で10分ほどに編集した「ファスト映画」が問題になりました。

著作権処理が難しい作品群として、制作時にネット配信を想定していない古いドラマや演劇、動画投稿サイトやSNSで流通する個人制作の動画などがあります。現行制度では権利者不明の著作物でも、文化庁長官の「裁定」を受ければ複製や配信が可能です。ただ権利者を探すための手続きが1~2カ月ほどかかり、企業の利用や個人の創作活動を阻む壁となっていました。

そこで文化庁が相談に応じる一元的な窓口組織を新設します。利用者が権利者を把握していない場合、著作権管理団体のデータベースから権利者を探し、不明なら著作権使用料の相当額を窓口に納めれば暫定的に利用が認められます。コンテンツ流通の拡大が見込めますが、相談への迅速な対応など使い勝手のよしあしも大切になってきます。