知財高裁は、インターネット上の動画のコメント表示に関する特許訴訟で、争点についての意見を当事者以外から広く募集することを決定しました。

 

今年4月に施行された、いわゆる日本版アミカスブリーフ制度です。

 

「ニコニコ動画」を運営する株式会社ドワンゴが、再生中の動画にコメントを表示する特許を侵害されたとして、「FC2動画」の運営会社を訴えている事件が対象です。

 

アミカスブリーフ制度は、韓国サムスン電子と米アップル日本法人が争った特許権侵害訴訟で、当事者からの証拠という形で実施されたこともあります。

 

特許や商標などを専門的に扱う知的財産高等裁判所は、インターネット上の動画のコメント表示に関する特許訴訟で、争点についての意見を当事者以外から広く募集することを決めました。
判決の影響が大きい特許訴訟で、裁判所が幅広い観点から検討できるようことし4月に導入された新たな手続きで、実施されるのは初めてです。

意見募集が行われるのは、動画サイトの「ニコニコ動画」を運営する株式会社ドワンゴが、再生中の動画にコメントを表示する特許を侵害されたとして、「FC2動画」の運営会社を訴えている裁判です。

ことし4月に施行された改正特許法では、特許をめぐる裁判について判決の影響が当事者だけでなく国内外の多くの業界に及ぶ可能性があり、国際的な観点からも検討する必要があるとして、裁判所が必要と認めた場合に一般から広く意見を募集して証拠として活用できる制度が設けられました。

知的財産高等裁判所によりますと、新たな制度を利用して意見募集を行うのは今回が初めてだということです。

争点などの詳細は裁判所のホームページで公表していて、意見を寄せる場合は11月末までに知財高裁に意見書を郵送してほしいとしています。

集まった意見書は、原告側と被告側が内容を確認したうえで、裁判の証拠として活用できるということです。

 

「ニコニコ動画」などを手掛けるドワンゴが動画再生中のコメント表示を巡る配信システムの特許を侵害されたとして、米FC2などに配信差し止めなどを求めた訴訟の控訴審で、知財高裁(大鷹一郎裁判長)は30日、外部の専門家らの意見を集める「第三者意見募集制度」を採用することを決定した。

 

制度は2022年4月施行の改正特許法で導入され、採用は初めてとみられる。ドワンゴ側の申し立てに基づき、11月30日まで意見を求める。

 

改正特許法では、業界に大きな影響を及ぼす可能性がある特許権侵害訴訟で、当事者が証拠を収集することが困難な場合などに国内外から意見を募る手法として導入された。「日本版アミカスブリーフ」と呼ばれ、集まった意見は当事者が証拠として活用できる。

 

知財高裁はサーバーや複数の端末で構成される「システム」の発明を巡り、国外にサーバーが存在する場合、特許侵害の実施行為にはどのような要件が必要になるかなどの意見を募集する。知財高裁のウェブサイトなどで告知する。

 

国内では特許法改正前の14年にも例外的に、韓国サムスン電子と米アップル日本法人が争った特許権侵害訴訟で実施されたことがある。