仙台高裁の岡口基一判事が、弾劾裁判に訴追されることが決まりました。

 

ツイッターへの投稿をめぐって罷免を求める訴追請求が出されていた仙台高等裁判所の岡口基一裁判官について、国会の裁判官訴追委員会は、罷免するかどうかを審理する弾劾裁判所に訴追することを決めました。SNSの発信をめぐって裁判官が訴追されるのは初めてです。
仙台高等裁判所の岡口基一裁判官(55)のツイッターへの投稿をめぐって、罷免を求める訴追請求が出されたことから、衆・参の国会議員で構成される裁判官訴追委員会が本人の主張も聞くなどして、訴追すべきかどうか検討してきました。
その結果、16日の委員会で、委員の3分の2以上が訴追に賛成したとして、岡口裁判官を弾劾裁判所に訴追することを決めました。

 

 

以下は2年前、2019年7月の報道です。

国会の訴追委員会では2年以上前から審議されていましたが、この時は情報が漏れたことを理由に審議が持ち越されました。この時点では岡口判事を訴追猶予とする意見が多数だったそうです。

 

その後、岡口判事が「遺族が東京高裁に洗脳された」という書き込みを行い、状況が急変しました。

ツイッターの投稿内容をめぐり最高裁から戒告処分を受けた岡口基一裁判官(53)=現仙台高裁=について、裁判官弾劾裁判所への訴追の可否を審議している国会の裁判官訴追委員会は、25日に予定されていた本委員会の開催を見送った。通常国会は翌26日に閉会したため、議決は秋の臨時国会以降に持ち越された。なぜ開催は見送られたのか。関係者は「守秘義務があるはずの審議の内容がマスコミに漏れたことが理由の一つ」と明かす。

 

なお、娘が殺害された事件で岡口基一判事からインターネット上で不適切な投稿をされたとして、訴追請求していた遺族は、訴追決定が出たことに「ほっとしている」とのことです。

娘が殺害された事件で岡口基一判事(55)からインターネット上で不適切な投稿をされたとして、訴追請求していた岩瀬裕見子さん(53)が16日、取材に応じた。訴追決定が出たことに「ほっとしている」と話し、「一日でも早く結論が出れば」と弾劾裁判での早期罷免を求めた。

岡口判事は2019年11月12日、自身のフェイスブックのアカウントで、当時高校3年だった裕見子さんの娘が殺害された事件に言及。訴追請求した遺族について「俺を非難するよう洗脳された」などと投稿した。

投稿されたのは娘の命日で、裕見子さんは「本当に許せない」と怒りをあらわにし、「普通では考えられない。裁判官としてふさわしくない」と強調。「誹謗(ひぼう)中傷は社会問題になっており、悪質だ」と訴えた。

 

この方は慰謝料請求のため、岡口判事を民事訴訟でも訴えています。

2015年に都内の女子高生が殺害された事件について、仙台高裁の岡口基一裁判官によるSNSやブログへの投稿により、精神的苦痛を受けたとして、女子高生の両親が慰謝料150万円など、合計165万円を岡口氏に求める訴訟を東京地方裁判所に提起していたことが、6月4日わかった。

 

自分は罷免までは必要がなく、岡口判事が自ら辞職するか、10年の任期満了時に再任されず退任で良いと思っていました。

しかし、岡口判事は東京高裁長官からSNSを止めるよう注意されても止めることもなく、訴追委員会へ呼ばれた時点で辞職をすることもなく、遺族へ謝罪することもありませんでした。

 

訴追の決定がされた後は、辞職ができないそうです。罷免されれば、資格回復がされない限り弁護士や検察官になることもできません。

弾劾裁判で罷免の判決がなされるのかわかりませんが、罷免されなくても次の再任はないでしょう。

 

岡口判事は自ら首を絞め、裁判官・法曹としての道を断ってしまったと言えます。