報道の通り、LIXILの会長兼CEOの潮田氏が、辞任を表明しました。

潮田氏は、昨年10月にCEOへ返り咲いたばかりでした。

 

記者会見で、自らが買収したイタリア子会社の損失を、前社長の責任にするなど、ただただ見苦しい限りです。このような創業家トップのいる、LIXILの従業員さんには同情します。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190419-00000010-jij-bus_all

 大手住宅設備メーカーLIXILグループの新旧トップが18日、首脳人事をめぐって泥仕合を演じた。創業家出身の潮田洋一郎会長兼最高経営責任者(CEO)は記者会見で、2019年3月期に巨額赤字に陥る見通しとなった原因として、瀬戸欣哉前社長兼CEOの「無策ぶり」を指摘。瀬戸氏更迭の正当性を訴えた。一方、返り咲きを狙う瀬戸氏は、6月の株主総会で議題となる取締役の選任案に関して「潮田氏の影響力をなくすのが必要だ」と全面対決を宣言した。
 「11億円の年俸を得ながら赤字を招いた責任をどう考えるのか、大変いぶかしく感じる」。潮田氏は高額報酬で迎え入れた「プロ経営者」瀬戸氏の手腕を、こう切り捨てた。LIXILはイタリア子会社の経営悪化に伴う損失で、19年3月期の連結純損益が530億円もの巨額赤字に転落する見通し。潮田氏は「瀬戸氏は何の手も打たなかった」と怒りをぶつけた上で、瀬戸氏起用を主導した「任命責任」を取るとして、辞任カードを切ってみせた。

 一部の株主は、潮田氏と現社長の山梨広一氏の取締役解任を求め、臨時株主総会の開催を要求していた。今回の辞任表明で、潮田氏は解任に追い込まれる事態を回避。瀬戸氏は18日、記者団の前で「話のすり替えだ」と猛反発した。

 

 

前社長の瀬戸氏が有能かどうかはともかく、この会長さんは経営者の器ではありません。

https://www.sankei.com/west/news/190418/wst1904180032-n2.html

 「大きな赤字の原因は、CEOだった瀬戸氏にある」。潮田氏は31年3月期に最終赤字に転落する見通しとなったのは、瀬戸氏がCEO時代にビルの外壁を手がけるイタリアの子会社の経営に失敗したためだと断定。「世界一の技術がある(イタリア子会社という)宝石を石ころにしてしまった」と批判した。

 今後の経営体制をめぐっては、瀬戸氏が自らを含む取締役の株主提案によりCEO復帰を目指しているが、潮田氏は「11億円もの年俸を得ながら、赤字を招いた責任をどうお考えか、大変いぶかしく感じている」と最後まで舌鋒(ぜっぽう)をゆるめなかった。しかしリクシルグループの前身のトステムの創業家として長らく経営に携わってきた潮田氏が、自らが招いた経営者に赤字の責任をなすりつけた辞任会見は、株主から冷ややかな視線を浴びせられかねない。(大坪玲央、平尾孝)

 

 

なお、潮田氏はインタビューで、経営者は器で選ぶべきと言っています。

今回、ご自身が器でないことを認めたのでしょう。

 

経営で重要なのは、MBAで学ぶようなかっこいい経営戦略や、オープンクローズ戦略のような理屈ではなく、人事、人選です。経営は人。次に財務、資金繰りです。

その次が(企画・設計の)商品力と販売力です。経営学や法務・知財はその後です。

https://diamond.jp/articles/-/200268?page=7

――瀬戸氏は新たな経営陣の案を株主提案するとしています。潮田氏の持ち株の比率は約3%。委任状争奪戦に発展した場合、勝算はあるのでしょうか。

 やってみなければ分かりません。ですが、ガバナンスの手続きという争点で経営者を選んでいいんですかと私は言いたい。経営者は器で選ぶべきではないでしょうか。

 

 

なお、LIXILやライザップなど、無理なM&Aを行い、ツケを払わさらせるケースが目立ちます。

 

ところで、東芝の車谷会長は銀行出身ですが、社員との対話を進めた結果、大規模なM&Aは行わない、東芝にはM&Aは合わないと公言しています。

東芝のように、理工系の優秀層が入社する会社であれば、M&Aより自社開発重視の戦略も採りえます。何でもM&Aで買えば解決する訳ではありません。

 

LIXILの事例は、M&Aブームを見直す良い機会でしょう。

https://newswitch.jp/p/15171

地味な「東芝Nextプラン」、市場は案外評価?

 

 改革に一気にかじを切ると言うよりは足元の延長線の計画と言える。車谷暢昭会長兼最高経営責任者(CEO)は「大規模なM&A(合併・買収)にキャッシュを使う予定はない」とも語る。
 「地味」な戦略にも映るが市場は現実的な計画と判断してか、株式市場は反応。8日の終値は前日から1割以上、上昇した。