特技懇誌のNo.289に、「国際分類調和に向けた取り組み ー分類プロジェクト管理者の視点からー」という記事が掲載されています。

特技懇誌は、特許庁技官の集まりで、特技懇誌も一定期間経過後は、Webで見られるようになります。

 

最近は、M&Aのための特許情報探索や、AIを使った検索などに注目が集まっていますが、その反面、特許分類を正しく理解して使いこなせる方が減っていると感じます。

 

この記事では、IPCの調和プロジェクトであるGCIについて解説がされています。

GCIには、Activity IとActivity IIと呼ばれる二つの活動があり、Activity I は、整合している内部分類(改正の結果、整合する場合を含みます)のIPC化を目指すもので、Activity IIは、既存の内部分類ではカバーできないような新規技術に対応した分類表を作り出し、そのIPC 化を目指すとのことです。

 

日本もCPCを導入すべきと乱暴なことを言われる方もいますが、欧米が主導権を握り、欧米の技術に合わせた分類を採用すれば、日本が強い技術に合わせたサーチの精度が下がり、不利益を被るだけです。

 

内容を自ら決定でき、付与方針を決めることのできる分類を持つことが、調査の精度に直結します。

 

http://www.tokugikon.jp/gikonshi/289/289tokusyu8.pdf

3. 五大特許庁における分類調和プロジェクト(GCI)

 日米欧中韓の五大特許庁(以下、五庁とします。)は、GCI(Global Classification Initiative)と呼ばれる枠組みで分類調和プロジェクトに取り組んでいます。五庁発の分類改正プロジェクトはこのGCIを通じて進められることから、GCIへの対応は分類プロジェクト管理者の重要な業務の一つです。そこで、次はGCIについて、その概要をご説明します。


3.1. なぜ分類調和なのか
 1971年のストラスブール協定によって設立されたIPCには、全世界で共通して使える特許分類を確立するという理念の下、現在に至るまで不断の改正が加えられています。2006年にリフォームドIPCとしてIPC 第8版(2006.01)が発効されると共に、大規模特許庁が用いるアドバンストレベルと、小規模特許庁が用いるコアレベルとの二重構造が採用され、アドバンストレベルは四半期毎(コアレベルは3年毎)の改正が可能とされました。現在では、当該二重構造は解消され、年2回開催されるIPCリビジョン作業部会の議論結果を踏まえた新IPCが、毎年1月に発効されています。
 IPC 第8 版(2006.01)以降は、過去に発行された特許文献全てを新IPCで分類し直す(再分類する)ことが義務化されているため、新IPCのみを使って、世界中で公開された特許文献を抽出・サーチすることが可能ですが、高度に専門化した特許文献を抽出・サーチするにあたっては、IPCの分類項目は必ずしも十分でないという側面もあります。

 

 一方、FI(File Index)/Fターム(File Forming Terms)とCPC(Cooperative Patent Classification)は、共にIPCに準拠しつつ、より細分化された項目を有する特許分類4)であり、JPOが管理しているFI/Fタームは主にJPOに出願されたJP文献をカバーする一方、CPCはCPC管理庁である欧州特許庁(以下、EPOとします。)及び米国特許商標庁(以下、USPTOとします。) に加え、CPCNO(CPC National Office)と呼ばれるCPC付与庁である中国、韓国、ロシア、ブラジル等でも付与されています。

 言語の壁を越え、全世界で共通して使える唯一の特許分類としての役割を担うべきIPCの上記側面を改善するには、すでに確立されているFI/FタームとCPC の細分化された有用な項目をIPCに導入することが最も効率的でしょう。その結果、新IPC、FI及びCPCに共通の観点の分類が設けられ、特許分類が国際的に調和します。

 特許分類の国際的な調和は、審査官にとって、なじみの薄い分類体系の中で関連する分類項目を見落とすといった危険性を回避して、外国文献をより安全かつ効率的にサーチし、サーチの質を向上させることにつながります。他庁における外国文献サーチの質が高まれば、必然的に他庁のサーチ結果の信頼性も向上するため、分類調和は国際的なワークシェアリングを推進する上でも重要な意義を有しています。

 

3.3. 議論の進め方
 GCIには、Activity IとActivity IIと呼ばれる二つの活動があり、五庁はいずれかの活動を通じて、新分類項目の五庁合意と、五庁合意した分類項目のIPC 化を目指します。Activity I は、整合している内部分類(改正の結果、整合する場合を含みます)のIPC化を目指すもので、Activity IIは、既存の内部分類ではカバーできないような新規技術に対応した分類表を作り出し、そのIPC 化を目指すものです。

 

5. おわりに
 以上、国際分類調和の取り組みについて、分類プロジェクト管理者の視点からご紹介しました。本稿を通じて、読者の皆様の分類改正業務に関する知識・興味が多少なりとも深まったとすれば、これに勝る喜びはありません。
 国際分類調和の状況を客観的に眺めると、EPO/USPTOが主導するCPCが年々その勢力範囲を拡大しており、FI/F タームという独自の分類体系を採用しているJPO は、世界の中で孤立しつつあるという見方もできるかもしれません。しかし、そのような状況であるからこそ、CPC に対抗できる唯一の分類体系を保有している庁として、JPOが果たすことのできる役割は大きいのではないかと思います。
 最近のIPC改正プロジェクトでも、新たに追加される分類項目の多くはCPCに由来するものですが、FI/F ターム由来の分類項目も少なからず採用されています。