毎日新聞にINPIT 三木俊克理事長インタビューが掲載されています。
知財情報提供、教育だけでなく、営業秘密、近畿統括本部、タイムスタンプのトークン保管など、新たな取り組みについても説明されています。
INPITの位置づけも、14年前の設立時とは、大きく変わっているように思えます。
三木理事長は、知財教育で有名な山口大副学長出身なのですね。
https://mainichi.jp/articles/20180507/org/00m/010/026000c
中小企業の知的財産の活用を支援
人口減少下で国内市場の拡大に多くを期待するのは難しい。中小企業も積極的に海外の需要を取り込むべきだ。しかし、現実には、さまざまな困難が伴う。技術や営業秘密の流出防止もそのひとつだ。そうした中で、特許や、ブランド力につながる商標権など知的財産権は、付加価値を生み出す源泉でもある。中小企業の知財戦略をサポートしてきた工業所有権情報・研修館(INPIT、インピット)の三木俊克理事長に、課題と抱負を聞いた。(児玉平生)
もとの役割は特許や商標に関わるものでした。しかし、今では間口が大きく広がっています。例えば、私たちの支援対象には、「ノウハウ等の営業秘密管理」も含まれています。特許は、国が排他的な独占権を与えるものですが、ノウハウは会社の中で秘密管理しておくものです。特許だと情報は公開されてしまいますが、他人が考えつかない限り秘匿できるのがノウハウの特徴です。こうした特徴を踏まえ、ノウハウを秘匿管理するという選択肢も有効な知財戦略のひとつになります。
--知財戦略のあり方が変わっているのですね。
特許は、モノの権利を守るためには、非常に強い権利です。特許を侵害しているかはモノを調べれば容易に判断できるからです。しかし、方法の特許では、相手の工場の製造工程を調べないと、侵害されているのか検証しづらい。そのため、特許にするのかノウハウとして秘匿化しておくのかという選択がありえます。その両方をにらんで知財をマネジメントする必要があります。さらに、人工知能(AI)などの分野では、集められたデータ自体が重要な知財です。そのデータを秘匿するのか、流通させるのかも判断する必要があります。ノウハウ、データなどを含めた全体を私たちは知的財産と言っており、その結果として、間口が広がっているということになるのでしょう。
--近畿統括本部が昨年、発足しました。
首都圏に次いで産業の集積度が高いのが京阪神地域です。従来は、海外展開や営業秘密に関する専門的な支援は、東京から専門家が出張して対応し、時間的にもロスが生じていたところ、大阪府や地元のいろいろな団体から、INPITに拠点を置いて欲しいという要望があり、昨年、大阪に近畿統括本部を開設しました。海外展開と営業秘密に関する専門窓口を大阪にも設け、特許庁の審査官による面接審査も近畿統括本部で行えるようになりました。
--タイムスタンプ保管というサービスが始まったようですね。
業務の電子化が進み、営業秘密として秘匿する文書、他者が特許出願する前にその技術を先に使用していたことを証明するための文書も、電子化が進んでいます。電子化された文書は容易に内容や作成日時を改ざんできるため、電子文書にタイムスタンプを付与することで、存在時刻、非改ざん性を証明することが行なわれます。しかし、タイムスタンプ付与は民間の事業者が行なっているため、利用者の立証負担を軽減するには公的機関が関与するのが望ましいということから、電子文書に付されたタイムスタンプを公的機関であるINPITが預かり、利用者の求めに応じ預入証明書を発行するサービスを、昨年スタートしました。