パテント・トロールに示談金を払わずに完勝する方法という記事が載っていました。

 

(米国)特許70件に対して、5万ドルの予算で先行技術調査を行い、権利行使を阻止したという内容です。

記事には明記されていませんが、調査はクラウドファンディングでしょうか。

 

5万ドルは約600万円ですから、特許1件当たり8.5万円程度で無効化できたということになります。日本の審査請求手数料が出願1件につき平均15万円程度ですから、かなり廉価というか効率的ということになります。

 

しかし、10万円以下で無効化できる特許がこれだけあるのは、審査の質が低いという見方もできます。

 

調査会社等で、日本特許、欧米特許、非特許文献の無効資料調査3点セットを行うと、200万円以上かかる場合も少なくありません。

 

特許庁が特許にしたということは、本来はかなりの確率(80%以上)で特許が有効ということです。それが10万円以下で覆ってしまう。

米国はパテントトロールの跋扈や三倍賠償など法制度だけでなく、特許庁にも問題が潜んでいるように感じます。

 

http://jp.techcrunch.com/2017/05/12/20170511trolling-the-patent-trolls/

しかし先月Blackbird Technologiesと名乗るトロール企業がCloudflare(そしてクラウドプラットホームのFastly)を、プロキシシステムのエラーメッセージに関する1998年の特許で訴えたとき、Cloudflareは反撃を決意した。このCDN企業はProject Jengoと名付けた懸賞プロジェクトを立ち上げて、Blackbirdが保有する70あまりの特許のすべてを無効にすることをねらった。

 

Project Jengoは、特許が“先行技術”(prior art)である証拠を見つけるために、総額5万ドルの資金を用意した。その特許が謳っている技術が、特許が申請される前に広く使われていたことを示す証拠だ。先行技術の証拠は、特許侵犯の主張を‘根拠なし’にする。そして5万ドルの資金のうち2万ドルは、CloudflareとFastlyの訴訟に関わっていた特許を無効化するために使われ、残る3万ドルは、Blackbirdのそのほかの特許の無効化に投じられる。

 

CloudflareのCEO Matthew Princeがブログに書いている: “Blackbirdは2014年の9月以来107件の訴訟を起し、今後も同社の特許を使ってそのほかの企業を訴訟していくだろう、と思われた。そこで、Blackbirdの特許に先行技術の有無を調べることが重要であり、それによって今後彼らが弊社やそのほかの企業を訴訟できないようにする必要があった”。

 

その調査の結果、Project Jengoの訴訟ではCloudflareの勝訴が確定し、一般的なパテントトロールの事案と違って同社は、示談(〜和解金支払い)を回避できた。