おはようございます。


東京五輪のエンブレム問題、当初は盗作だ、などと騒ぎになりましたが、やや収束してきているようです。


2名の弁理士の方が、毎日新聞社の取材に応じています。


一部には、ベルギーのリエージュ劇場のロゴは著作権登録されていないから、侵害ではないという報道もありました。しかし、ベルギーもベルヌ条約加盟国ですから、著作権保護に登録は必要ありません。


著作権登録が義務ではないということは、大半の著作物には公示手段がないということになります。

したがって、ベルギーにおいても、偶然似ていても、依拠(模倣)していなければ著作権侵害に問われないということになります。


日本での著作権法や不正競争防止法の扱いは、以下の記事にある通りです。


この問題が、なぜこれだけ大騒ぎになったのか、私は理解できません。


http://mainichi.jp/sports/news/20150806k0000m050070000c.html

 会見で佐野氏は「TOKYO」の「T」を出発点に亀倉雄策氏(故人)が制作した1964年東京五輪のエンブレムの大きな「円」を落とし込む独自の着眼点を強調した。


 ファーイースト国際特許事務所の平野泰弘弁理士は毎日新聞の取材に「今回はリエージュ劇場のロゴが商標登録されていないことが確認されており、商標権侵害で訴えられることはない」と説明。法的手段に訴えるなら、登録手続きの必要がなく、創作と同時に発生する著作権法上か公正な競争を担保する不正競争防止法上の争いが想定されるという。


 著作権侵害を訴えるなら、デザイナー側が佐野氏が模倣したと立証する必要があり、日本で不正競争防止法に訴えるならリエージュ劇場のロゴが相当程度有名である必要がある。平野弁理士は「盗用したとの立証は難しく、ロゴが日本で有名かと問われても苦しい。デザイナー側が勝つのは難しい」と指摘した。


 また、J-star国際特許商標事務所の大谷(おおがい)寛弁理士も取材に「今回は非類似。専門家から見れば、なぜ騒ぐのだろうという程度」との認識だ。著作権法上で争うにしても司法で認定されるほどのデザインの類似性は認められないとして「どんなエンブレムを作っても今回のようなケースは出てくる」との見解を示した。