このところ、冴えないオバマ大統領ですが、パテントトロール対策を始めるようだと、トムソン・ロイターが伝えています。


アメリカの場合、ディスカバリー制度があり、また訴状の形式も簡易なため、原告である特許権者は、被告がどの特許を侵害しているのか完全に特定せずとも、侵害訴訟を起こせてしまうという問題点があります。


訴訟提起の要件を厳しくする法案を成立させて行くようです。ある意味日本の民事訴訟法に近づくという見方もできます。


特許権者が被告の製品構成やその実施行為を詳しく特定しなくても、訴訟が提起できるのは特許権者保護という面からは好ましく思えます。ですが、どの特許を侵害しているのかもわからず、訴訟に巻き込まれる被告にとっては災難と言って良く、ある程度の厳格化はやむを得ないのではと感じます。


http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0L31JA20140129

オバマ米大統領は28日の一般教書演説で、特許侵害訴訟の乱用を抑制するための対策法案を迅速に成立させるよう議会に訴えた。


特許権の行使で利益を得ようとする企業は、通称「パテント・トロール(特許の怪物)」と呼ばれているが、これら企業が起こす特許訴訟に、ハイテク関連企業が反発してきた。現在ではその流れに、小売業者やコーヒー店、銀行なども加わっている。


大統領は6月、訴訟の急増を抑えるための詳細な計画を示しており、今回の一般教書演説では、この取り組みへの支持を再度表明。


大統領は「企業が費用のかかる不必要な訴訟ではなく、技術革新に集中できるような特許制度改革に向けた法案を成立させよう」と訴えた。


法案は複数あるが、有力なのは2案。米下院は12月5日にグッドラッテ議員(共和党、バージニア州)が発起人となった法案を可決。これには、どの特許が侵害されているかといった詳細な説明を義務付ける内容が盛り込まれている。


米上院司法委員会のパトリック・レーヒー委員長が発起人となった同様の法案もあるが、法案成立には、上下院の法案で内容の食い違う点をすり合わせる必要がある。