こんにちは。仕事の休憩中です。先週火曜日に受講した弁理士会「知財訴訟」の研修内容を、忘れないうちに書いておきます。


定員300人のニッショーホールが会場で、知財高裁3部総括の飯村判事が講師でした。

前半は行政訴訟や民事訴訟の一般論が多く、船を漕いでいる方もおられました。

共有関係の訴訟については、その後の事情により仲が悪くなる場合もあるため、拒絶審決の取消訴訟についても、緩やかに解すべきと説明されていました。


後半は訴状や準備書面等の記載方法の他、特許や商標の最高裁判例についても解説がありました。

知財分野唯一の大法廷判決、メリヤス編機事件については、どんどん審理範囲が狭くなる運用がされてきたが、昨年の法改正で、一事不再理(167条)の第三者効廃止が廃止され、今後の判決が変わる可能性を指摘されていました。


商標の氷山事件については、「取引の実情」を考慮するのは理解するが、出願段階において使用していない商標についても、「取引の実情」を知ることは困難であろうと指摘されていました。確かにその通りです。


解説を聞く限り、飯村さんは、最高裁判例を変更してやろうという野心をお持ちなのかもしれません。



最後に質問の時間があり、講義に関係のない内容でも良いとのことだったので、私も質問しました。質問者は私を含めて2名だけでした。


Q 「自動車や電気製品のように、多数の権利が関係する場合、損害賠償は認めても良いが、差止は認めるべきではないという事件もある。以前(明治大学の)シンポジウムでは、権利濫用というような判決を書くのは裁判官として如何なものかというお話を伺った。この場合に、民法1条以外にどのような主張をすべきか。」


A 「権利濫用の主張が必要な場合もあり、必ずしも否定はしていない。そのシンポジウムでは、ある著作権訴訟において担当裁判官が事案の当てはめを十分行わずに、権利濫用により差止のみ制限する判決を書いたので批判した。この事件では民法709条のみ適用すれば済んだ。

そもそも、差止請求権も損害賠償請求権も、特許権による独占排他性に由来するものであり、差止請求権だけ制限することが可能なのか疑問である。

このような事件では和解を勧めている。」


とのことです。もっともですね。