(引用はじめ)
我々の現存在は、かなたへと消えていく現在以外には、
それへと足を踏みしめるべき何らの基底も基盤ももってはいない。
それ故にそれは本質的には普段の運動をおのが形式として持っているので、
我々が絶えず希求している安静の可能性はそこにはない。
我々の現存在はいわば山道を駆けおりている人間の足取りに似ている。
彼はもし途中で立ち止まろうとすれば倒れるに違いないのだから、
身を支えていることのできるためには絶えず駆け続けているほかはないのである。
ーそれはまた指の尖端で均衡を保持されている竿に似ている。
ー或いはまたそれは、不断の驀進をとどめたら最後、
おのが太陽のなかに落ち込んでしまうでもあろう遊星に似ている。
ーこういうわけで、動揺ということが現存在の原型なのである。
ショウペンハウエル 『自殺について』 岩波文庫 P35
※引用終わり 改行は引用者が変えました。
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自殺について 他四篇 (岩波文庫)
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人間社会は、秩序があるように見えるが、それは不断に動揺している。
動揺こそが、現在に存在しているということの本質なのである。
山道を駆け降りるように、倒れるまで、止まることはできない。
身を支えるには、駆け続けなければならない。
(おわり)
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