本日早朝に西洋蜜蜂の未交尾新女王4匹の産卵開始を確認に行った。そうしたら巣門に装着したスズメバチ捕獲器にオオスズメバチが1匹入っていた。

 

このところ蜂場へ通って来ては、今春までに全滅した蜂群から流れ出る蜂蜜を飲んでいたオオスズメバチの働き蜂であろう。女王蜂に育てられた蜂らしく、キイロスズメバチ女王程度の小型の体をしている。それでいて頭部が大きな [ デカヅラ蜂 ] だ。スズメバチ捕獲器にさえ入っていなければ放置してあげたのだが、既にスズメバチ捕獲器の中で瀕死状態だった。

 

養蜂家からは忌み嫌われるオオスズメバチだが、食物連鎖の大きな役割を持っているため女王蜂を誘引捕殺してしまうと外来種ツマアカスズメバチの生息地拡大に寄与してしまう事になる。よって、できるだけ女王蜂の捕獲は遠慮していただき、(背に腹は代えられないので)蜂場に襲撃にやってきた蜂のみ捕殺するように妥協して欲しいところ。

 

そんなオオスズメバチと私との出会いは小学生の時。カブトムシやクワガタを採集しに森へ行くと高確率で樹液を占拠していた。そのオオスズメバチを、樹液の出ているクヌギの幹の反対側(裏側)から、狙いを定めた上で脱いだ靴で [ ペシンッ ] と1撃で叩きつぶし、その隣にいたカブトムシやクワガタを捕獲した。当時の長野市は地球温暖化前ゆえに低温でオオスズメバチの営巣開始時期が現在より遅く、夏休みの時期にはまだ営巣規模が小さいため 1つの樹液を占拠しているオオスズメバチはたいてい1匹か2匹だったので、当時小学生の私にはこの戦法が可能で効果的だった。

 

そしてオオスズメバチと同じように樹液にいて、夏休みの時期には1つの樹液を5匹くらいで占拠していたのがチャイロスズメバチだった。同様にしてモンスズメバチも1つの樹液を5匹くらいで占拠しており、当時の長野市の山中はこれらオオスズメバチとチャイロスズメバチ、モンスズメバチの3種類のスズメバチが常に樹液を占拠しており、私にとってはこれら3種のスズメバチが目の上のタンコブだった。

 

それが小学4年生の時から開始したクロスズメバチ飼育がキッカケになり、これら3種類のスズメバチまでも中学生になる頃には私の自然観察の対象生物に加わった。クロスズメバチの餌付け・目印着け・帰巣する働き蜂追跡方法を、キイロスズメバチと同様にそのままオオ・チャイロ・モンのスズメバチ3種類に使用できたので、巣探しには苦労しなかった。ただし餌付けの時、営巣規模が大きな蜂群に成長しているオオスズメバチの場合には、竿先に取り付けた肉餌を樹液占拠中の働き蜂の鼻先に差し出しただけで、頭部の髪の毛や目をめがけて攻撃を受ける事があった。

 

このような事をしている人が少なかったためか、この時の自然観察等が奏功して 20代後半あたりからは幾度となく科学番組制作の協力依頼を受けるようになり、大きな海外メディア 2社それぞれから科学番組制作の協力依頼も受ける事となった。

高校生の頃からは西洋蜜蜂を飼育観察するようになり、2004年か2005年からは日本蜜蜂までも飼育観察するようになり、これはこれで同じような事になりお手伝いする事になった。

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写真は本日の西洋蜜蜂蜂場。強い痛風のため歩けなくなった昨秋にダニ駆除ができず、その影響で今春までに事実上の 2群になってしまった西洋蜜蜂を、人工分蜂を繰り返してここまで回復させた。1段巣箱や2段巣箱の上に載っている小型の輸送箱(巣枠7枚箱)の様子から、現在までの人工分蜂の様子をうかがい知る事ができよう。

 

昨年の強い痛風の原因を自身で特定できた今季は、原因になったスポーツ飲料を飲まずナッツも食べないようにしているため、どんなに大量に汗をかいても痛風を発症しない。まさに快適で絶好調だ。そのため西洋蜜蜂の管理も行き届いており、まさに健康な蜂群たちばかりだ。だがこれだけの蜂群数があると、いずれ1群か2群の罹病群や不調群が出現してくる。充分に注意して管理したい。

 

ちなみに10枚箱満群の蜂群もあるが2段巣箱が必要なほど蜂群は大きなものではなく、自宅に持って帰り積み上げるような場所が無いのでそのまま継箱を10枚箱へ重ねてそこへ不要な巣枠等を入れ、いわゆる [ 小物入れ・道具箱 ] として継箱を使用している。

 

既にスズメバチ捕獲器を装着済みで、オオスズメバチ襲撃へ向けて準備万端整っている。各巣箱の上に載せ見えている小箱を片付けたいのだが、猛暑期の現在は自宅の片付け置くべき場所に蘭をずらりと並べて避暑させているため、仕方が無いので猛暑期が去るまでこのまま蜂場に置きっぱなしだ。

 

4匹の未交尾新女王のうち 2匹は交尾を完了して産卵を開始しており、4日齢幼虫まで存在していたので産卵開始は1週間ほど前だったようだ。3匹目の未交尾新女王はまだ産卵は見られなかったので、今日あたりには産卵開始するものと思われる。もし本日が交尾日になる場合には事故で女王喪失が起きる可能性があるので、必ず後日に産卵開始を確認する。4匹目の未交尾新女王は交尾飛行で事故死したようで喪失しており、既にほんのわずかの働き蜂産卵があった。働き蜂産卵数が激少なので切除せずにそのまま放置する事にし、人工分蜂時に取り置きしておいた王台からできた新女王極小群をここへ蜂群合同した。

 

これで今年の私の人工分蜂による造群・増群作業は一旦終了となった。今後は造巣・建勢・オオスズメバチ襲撃対策・ミツバチヘギイタダニ駆除が主な作業になる。そして既に越冬へ向けた蜂群管理を開始する。今冬は2段満群は無く小柄な蜂群なので、一部の蜂群には冬囲いをする予定でいる。