どこかで目にして知っているかもしれない [ 芋洗いをする猿 ] について、
[ 最初に芋を洗い始めた1匹目の猿が現われて、他の猿がこれを見て学び真似をして自身も芋を洗うようになった ]
と考えてしまいそうな話だが、実際には縁のない遠方のサルまでもが突然に芋を洗う行動をするようになっている。
要は
[ 縁がなくとも、ある日突然にあちこちで同じ行動をする猿が出現した ]
という事であり、今回の [ 人を襲う熊 ] について、数年前から突然に全国的に始まったような気がしてならない。単に子連れの雌熊が人を襲っている場合には平素であってもごく普通に起きる事だが、[ 1匹でいる熊が人を襲う ] ような話は過去にはとても珍しかった。
もっとも、随分と前から熊を保護する機会が増え、 [ 捕獲した熊をお仕置き放獣 ] する事が多かったはずだ。長野県ではこのような事をしている団体を援助して、あちこちで捕獲した熊を軽井沢町の山中へ持って行き、そこでお仕置き放獣をし続けてきた事実がある。今春には国の方から [ 各地ごとに適合する熊生息数に調整せよ ] という旨のお達しが出ているので、現在の長野県における熊への対応についてはどうなっているのか私は分らない。
私は、つい3日ほど前に高原で飼育していた西洋蜜蜂を長野市の里山蜂場へ移動・転飼した。これは
① 7月初めから毎日おこなわれるようになるモロコシの雄花への殺虫剤散布による農薬被害を逃れるため
② 6月25日あたりからのケンポナシ流蜜をねらう
という2つの目的のためである。
だが、今年のこのタイミングの西洋蜜蜂の移動は雨天である日中に急遽おこなった。理由は
[ 蜂場から比較的近くの場所において、クマに襲われて死者が出た ]
からである。この熊による事故が起きた翌日か翌々日に急遽、西洋蜜蜂を移動したのだ。
私の蜂場は基本的に毎年のように普通に熊が出没し目撃される場所であり、毎年その地域のモロコシが熊に食べられる被害が出ている。私自身も数年前に西洋蜜蜂を人工分蜂作業中に 20mほど離れた目の前にあるネマガリダケの笹やぶの中からツキノワグマに威嚇された経験があり、この時には既に熊対策用に武器として [ 鎌 ] を携帯していたので、私から熊を威嚇するようなことはしなかったが
[ 私に襲い掛かってきた場合には、こちらも鎌を使って応戦するぞ!]
という気持ちで熊の潜む笹やぶを睨みつけながら熊を刺激しないように静かに人工分蜂作業を急遽取り止め、よりによって私と熊との間に止めてあった車に分け出した蜂群を静かに積み込んでその場を去った。翌朝に再びこの蜂場へ向かうと、電気柵の下が熊に掘り返されていた。
そんな高原にある蜂場ゆえに、蜂場からは随分と離れているとはいえ比較的近くで土地測量をしていた人が熊に襲われて亡くなったため、熊の出没率が低い日中を選んで雨天という幸運を利用して西洋蜜蜂を急遽日中に移動したのだった。なぜなら熊の出没率の高い夜間~早朝の時間帯では、土地測量していた人を襲った熊に遭遇する可能性があり、今回は恐ろしくて昼間でなければ西洋蜜蜂を移動できなかったからだ。
山間部に蜂場を設置する養蜂家にあっては、これからの時代は平素から剣術や打撃系の武道を学び、いざという時には熊と勝負できるように鎌(カマ)や鉈(ナタ)、大型サバイバルナイフ、木刀を持って蜂場へ向かうようになるかもしれない!?