日本蜜蜂養蜂家の場合には、花を追って転飼を繰り返す人は、アカリンダニ禍前の私を除いて皆無と思われる。ところが蜂種が西洋蜜蜂になると結構な割合の人が花を追って転飼する。

 

現在、私の西洋蜜蜂はニセアカシヤを追った転飼の最終地点である高原にいる。その高原では既にニセアカシヤ花期は去って、現在は栗花期の真っ最中。ところが高原では 7月1日 あたりから始まるモロコシの雄花への殺虫剤噴霧によって、蜂群が全滅するほどひどい薬害を受けてしまう事もある。よって私は6月下旬頃、西洋蜜蜂を長野市里山にある蜂場(越冬用蜂場)へ転飼・帰還させている。

 

長野市の里山蜂場では、リンゴ花期の初期とニセアカシヤ花期、そして栗花期に強い薬害を受ける。長野市里山地区の栗花期は6月20日には終了するので、高原で起きてくるモロコシの薬害を回避するためにこのタイミングで西洋蜜蜂を長野市の里山蜂場を持ち帰るのである。私の転飼は [ 薬害回避をしながら花を追う ] ため、蜂種が西洋蜜蜂の場合にはどんどんと蜂群規模が成長していってしまい扱いに困ってしまう。

 

そして間もなく7月に入るため、モロコシの薬害を回避するために長野市の里山蜂場へ転飼する時期に入っている。しかも6月25日か26日頃からはケンポナシの花期に突入する。

 

・・・本日は雨、外勤停止しているため日中に転飼が容易にできる。準備をして高原の蜂場へ出かけて行き、巣門を閉じて積み込み始め、最後の巣箱を持ち上げた瞬間・・・

[ ガバッ、ドサッ・・・ぶわわわ~~ん! ]

そう、全巣箱が2段なので巣箱をロープでしっかしと縛っているのだが、雨に濡れる前にサッサと積み込み作業を終えようとして慌てていたため、最後の1箱だけ [ ロープ縛り ] を忘れてしまったのだった。

 

私は以前から

[ 巣箱の積み下ろしの時に、上段巣箱と下段巣箱が外れて中の蜂が大量に飛び出す事もあるはずだ ]

として、巣箱の積み下ろし中も西洋蜜蜂の内検・採蜜作業中と同じ防護装備で作業するようにしている。これが奏功して大量の蜂が私に飛びついてきたが刺されることは無く無事だった。ただ、私の内検・採蜜作業時の防護装備は多くの養蜂家とは異なり軽装で、下はジーンズのごとく [ ニッカズボン ] のみを履き、上半身は夏期には [ 自作した防針用の網アンダーウェア1枚 ] と [ 布生地を通して向こう側の景色がハッキリと見えるほど薄い布生地でできたYシャツ様の作業着1枚(Tシャツなどの下着は着ない)] のみである。頭部には麦わら帽子に簡易的な面布をかぶり、手には手甲をした上で薄い炊事用ゴム手袋をしている。転飼作業時にはゴム手袋が皮手袋に替わる。

 

よって私は過去にも蜜蜂用防護服・養蜂用防護服を着用・利用したことは皆無だ。ただし、今後は [ 特別に西洋蜜蜂の気性が荒い時 ] にのみ着用しようと [ 厚手のメッシュタイプ ] の蜜蜂用防護服・養蜂用防護服を先日に2着購入した。片方の防護服はスズメバチ用防護服の下に [ 防針用のスズメバチ用アンダーウェア ] として着用するつもりだ。

 

ところで落下させてしまった巣箱は蜂場に設置したままにしてきた。飛び出た蜜蜂を回収するためである。二度手間になってしまうが、たった1箱のためにもう一度蜂場へ巣箱を持ちに行くとするかぁ・・・

 

皆さんも西洋蜜蜂の転飼をしている人にあっては、軽装でよいので必ず防護装備をしてから蜂群の積み下ろしをしてほしい。過去には閉じたはずの巣門が開いていたり、換気窓が腐食して隙間から蜜蜂が大量に噴き出てきた経験もあるので、巣箱の積み下ろしの際には充分にご注意を!

 

ちなみに私の場合、西洋蜜蜂の転飼(巣箱移動)は [ 夜明け前のまだ暗い早朝 ] および [ 雨天 ] におこなっている。これは気温が低いことから蜜蜂がおとなしくしており、扱い勝手が良いからだ。これが深夜前の夜間に移動しようとすると、雷雨後であれば気温が下がっているのでよいが、そうでない場合には気温が高く巣門前に大量の蜂があふれ出て蜂球になっている事がある。気温が高いので燻煙しても全蜂が巣箱内に入ってくれることは少なく、これでは不都合だ。それともう一つ、雨天の移動であれば日中の明るい時間帯に巣箱移動できるし、早朝の巣箱移動であれば移動先に設置して巣門を開ける頃には周囲が明るくなっていて作業が楽なのである。