昨夜には、花期を終えて待ち箱から持ち帰った [ 並花の金稜辺(原種) ] を植え替えた。

 

この株も、地球温暖化による猛暑にあって生理障害を起こして枯死寸前まで行った株。3年ほど前から手厚く保護して花期に避暑させ、ようやく健全株に復活して開花した。鉢から中身を引き抜くと、やはり想像通りに4年前までに出ていた根はすべて枯れておりバックバルブすら枯れていた。2方向へ新芽が成長してきた株のため、枯れたバックバルブで2分されて2株に株分けとなったが、小さな株ゆえに寄せ植えにした。3年前からの根は健康に残っているので、先ず間違いなくこの株は今秋までに花芽を着け、来春もきれいに開花してくれる。

 

このところ花期を終えた金稜辺が出てくる度に植え替えているため、自然に [ 金稜辺植替えセット ] ができ上っており、とても効率よく植え替えられる。5年ぶりくらいに金稜辺を次々に植え替えており、事実上、ほぼすべての金稜辺を今夏までに植え替える予定。本来はこのような [ 金稜辺の全鉢を植替え ] すると、私のように [ 新バルブ1本立ち ] のような株仕立てにする場合には翌年に開花しない鉢が多く出てくるので注意が必要だ。しかしながら、そこは注意して充分なバックバルブと充分な古根を残して植え替えるようにしているので、私の場合にはわずかに開花輪数が減少するだけで問題は起きにくくなっている。

 

たまに日本蜜蜂養蜂家が [ この金稜辺原種は誘引力が強い ] という旨の話をしている姿を目にするが、誘引力の強弱はほとんど考えなくてよい。問題なのは、金稜辺の栽培技術が未熟なことから生死の瀬戸際で着花し開花した金稜辺を使用している人に出合うことが多く、このような花の場合には奇形花だったり誘引物質放出量が少なかったり無かったりするので、金稜辺を健康に栽培し開花させる事が必要になる。

 

一方で、私はほとんど誘引力が無い金稜辺に出合ったことがある。品種名は [ 金稜辺 白麗(あるいは白嶺)(ハクレイ) ] である。[ 金稜辺 月章 ] には偵察蜂が30匹も群がっているのに、その場でこれを [ 白麗 ] に交換したところ、飛来したのはたったの 1~2匹。誘引力はゼロではないが、ほとんど誘引力が無かった。このような金稜辺は極めてまれだが実際に存在するので、[ 白花 ] の金稜辺を入手した場合には、その品種名に注意して欲しい。白花金稜辺も充分な日本蜜蜂誘引効果を持っているが、紹介した [ 白麗(あるいは白嶺)] だけは駄目である。

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数日前に [ 今にも飛来するか ] と期待していた待ち箱を昨夕に見回りに行くと、何とどんよりとした偵察蜂 20匹ほどで待ち箱を占拠していた。どうも分蜂群は近くの樹洞またはお墓、あるいは他人の待ち箱に入居したらしい。私の待ち箱に金稜辺が添えてあるため、直近に飛来した分蜂群の一部が分裂して無王群側の小群が私の巣箱に居ついてしまったようだ。

 

・・・こうなってしまうと占拠中の蜂が母巣へ戻るか死亡するまでこの待ち箱に飛来する新たな偵察蜂は追い払われてしまうので新たな分蜂群は飛来・入居しない。

 

・・・結構このようなトラブルは存在し、このブログ内にも随分前に紹介しているが、杉林内に設置した蜂場において日本蜜蜂を採蜜中あるいは内検中に上空を日本蜜蜂分蜂群が通過した時、採蜜あるいは内検中の巣箱から発散されるナサノフ腺フェロモン(集合フェロモン)に誤誘引され、上空を通過中の分蜂群の一部が採蜜あるいは内検中の蜂群に舞い降りてきて合流してしまい、当該巣箱全体が戦闘モードに入ってしまって大変な経験をした事がある。これは西洋蜜蜂でも経験しており、いずれもこのブログ内のどこかに紹介し掲載しているので、興味ある人は検索して閲覧して欲しい。

 

意外にもこのようなトラブルが実際に発生し存在している。いよいよ長野市平野部では春の分蜂期が終了を迎える。

 

参考までにだが、ナサノフ腺フェロモン(その昔はナサノフ氏腺フェロモンと呼んでいた)を模倣して金稜辺が獲得し作り出したものが金稜辺誘引物質を私は考えている。ナサノフ腺フェロモンを高圧ガス容器に封入し、これを利用する事で疑似金稜辺として使える。オオスズメバチのファンデルフェヒト腺フェロモンとも同じ効果があるり、単に [ 複数の日本蜜蜂働き蜂を網袋に入れて添え、わずかに刺激するだけでナサノフ腺フェロモン放出がおこなわれる ] ので、これでも充分に偵察蜂誘引の効果があるはずだ。

 

・・・ただ、これをやったのでは日本蜜蜂がかわいそうであり倫理的な問題を感じてしまうが、実際にはこれでも偵察蜂誘引効果がある。このように日本蜜蜂の世界にも西洋蜜蜂の世界にも、まだ未開拓な部分が沢山残っているわけである。