写真は [ ミスマフェット・アルバ(白花)] を株分け・植替えのため植木鉢から引き抜いたところ。根が黒褐色に変色しており、切除すべき根が多い事が判る。バルブの直下には、天地逆さにして埋め込んだヤクルト容器が見えている。鉢底部分には、玉ねぎ網を使用して軽石・鹿沼土の粒が落下してゆく事を防いでいる。

 

日本蜜蜂養蜂界では一般的に [ ミスマフェットは金稜辺よりも寒さに弱い ] と言われているが、私はミスマフェットが寒さに弱いとは感じたことはまったく無い。ごく普通に暖地の蘭として [ 越冬は、凍らなければそれでよい ] という程度の蘭だ。ただ、夏の暑さにとて弱いのが難点。我家の庭では夏季の最高気温が40℃を超える日があるほど暑くなるので、他所にお住いの人が育てているミスマフェットとは単純に比較できないが、とにかくミズマフェットは暑さにとても弱い。

 

どのように弱いかというと [ 生理障害が起きて根腐れ・新葉のスッポヌケ症・成長停止 ] が起きてしまう。結果としてマイナス成長からやがて枯死へと向かう。これを夏季に屋内避暑や建物の北側で避暑させるようにした3年前からようやく元気に育つようになり、無事に復活して本年にはきれいに開花してくれた。写真は一度は捨てようとしたそんなミズマフェット・アルバだ。

 

昨年のバルブにある葉が縮れていて何かしらのウイルス病を思わせるが、これは昨春に出芽した新芽が鉢内にて水平に伸び、鉢の側面にぶつかってもまだ水平に直進しようとした結果このような葉になったもの。既に今春の新芽は写真に大きく見えており、これを折損しないように注意しながら株分け・植え込みをおこなった。

 

植え込みの際には天地逆さにしたヤクルト容器を1個とダンボ-ル紙の切れ端を複数入れている。ダンボール紙はバークの代わりである。写真のように充分なバックバルブと元気なな根が存在するこのミズマフェット・アルバは、この様子だと今秋には花芽が着いて来春に開花するはずだ。

 

株分け・植え込みが完了したミスマフェット・アルバ。2株に分け、一方を元の5号蘭鉢へ植え込み、もう一方を4号駄温鉢へ植え込んだ。駄温鉢は素焼き系の植木鉢のため通気性があり、鉢表面から内部の水分が染み出てきて蒸発するので鉢内の加湿を防ぎ、かつ、鉢内を低温に保つ事ができる優れもの。一方、その分だけ水が不足するため、駄温鉢で育てた金稜辺をはじめとするシンビジュウムは小型化する。これを少し抑えようと、駄温鉢の植え込み材料に鹿沼土を多めに入れて水持ちを良くしている事にお気付きであろうか。

 

このほか右側の5号蘭鉢には針金が付けてある。縦長の鉢ゆえに強風時に倒れてしまうので、この針金で隣り合う蘭鉢同士をつなぐなどして転倒を防ぐことに使用している。

 

私の場合、金稜辺をはじめとするシンビジウムの株分けは基本的に昨年のバルブ1本立ちで分けている。

[ これ以上分割してしまうとその年には花芽が着かない ]

というギリギリの株分け分割単位である。

 

一般的には日本蜜蜂養蜂家の多くは [ 大株仕立て ] を好み、[ 大株にしないと花が咲かない ] と思い込んでいる人も多い。だが、これは間違った考え方であり、大株仕立ての方が管理しにくく、鉢中心部の根が根腐れしやすくなるなどの弱点がある。この点、私のような昨年バルブ1本立ちを基本とした植え込み方にすると、とても管理しやすいので開花バルブ1個あたりの開花輪数は大株仕立てよりも昨年バルブ1本立ちの方が多くなるのが現実である。加えて、大株仕立てで1鉢栽培しているのと、これを5等分して翌春に待ち箱5箱へ1鉢ずつ金稜辺花を添えるのとでは、その利用価値に大きな差がつく。ちなみに私の仕立て方で栽培する場合には、3年に1回の株分け・植替えをおこなうようになり、ドンドンと鉢数が増え、増え過ぎて困るようになる。