ついに待望の分蜂期へ突入した長野市近隣。金稜辺を設置するとほとんどの場所において、多少はあれど偵察蜂が集まってくる。

 

振り返るとアカリンダニ・パンデミック(アカリンダニ禍)の真っ最中はひどかった。金稜辺を設置しても飛来する偵察蜂の姿は皆無に等しく、本来は群がるアレチウリやセイタカアワダチソウの花にも日本蜜蜂の姿は無かった。それこそ

 [ 日本蜜蜂が日本列島から姿を消した ]

時代でもあった。

 

そんなアカリンダニ禍の状況がが10年間ほど続いたであろうか。その後から経年ごとに訪花する日本蜜蜂の姿を見かける事が多くなり、現在ではどこに行っても訪花する日本蜜蜂を普通に見かけるようになった。並行して野生群をごく普通に見かけるようになり、この状況から判断し、昨年末あたり、または今新春頃に私は

[ アカリンダニ禍前の状態にほぼ戻った ]

と予想し断言した。実際にそのように推移しており、今春の分蜂期にはどこへ行っても偵察蜂の姿があってとても賑やかになってきた。

 

しかしながら、そんなアカリンダニ禍前の営巣状況にほぼ追いつくような野生営巣数をみせた昨秋までの日本蜜蜂も、春を迎えた頃には結構全滅していた蜂群も多かった。そう、

[ 分蜂期直後にはアカリンダニ禍前の野生営巣数近くまで増殖しているが、まだ日本蜜蜂はアカリンダニ禍から完全には脱し切れていない ]

という実際がある。だがそんなアカリンダニ禍から脱し切れていない日本蜜蜂の姿も、

[ 間違いなく今年から大きく前進を始める ]

と私はここにハッキリと断言する。

 

これまでも [ アカリンダニパンデミック突入年 ] について北信流養蜂会が予想した通りの年に起き突入している。本来はこれをアカリンダニ研究者がおこなうべきだが、私の知り合いの研究者らは基本的に大学の教員を兼ねているのでアカリンダニという特定のものだけに集中できない。また、研究者各々が自身の仕事や特定の研究テーマを持っているので、これまたアカリンダニだけには集中できないような実際がある。

 

しかしながらアカリンダニという寄生生物は日本蜜蜂養蜂家であれば常に接しているものなので、養蜂家の方が研究者を上回っても不思議はなく、ぜひ全国の日本蜜蜂養蜂家の皆さんも頑張って観察・研究して欲しい。ご自身だけでは無理があるならば、ぜひ協力して皆で観察・研究を進めればよい。

 

私は [ 今年からどんどんとアカリンダニ禍が消えてゆく ] と考えているが、その様子はまさに [ 百年に一度の大疫病となった新型コロナ ] のようになるのではないかと予想している。そこそこ一部にしつこく残って引っ張りながらも消えてゆく形になるはずだ。

 

これから直近の養蜂界の問題としては、私は [ 西洋蜜蜂に寄生するミツバチヘギイタダニ ] であろうと考えている。既に北信一刀流ダニ駆除法を日本全国の多くの養蜂家が取り入れ、ダニ駆除剤と併用する形で実践しているが、95%を超える養蜂家のダニ駆除剤投薬のタイミングが誤っており、これによってダニ被害を大きく増幅してしまっている。また、ダニ駆除剤に対し耐性を強く持ったダニが出現してきた事もあり、西洋蜜蜂養蜂界には暗雲が漂ってきている。

 

プロ養蜂家として多数飼育する西洋蜜蜂の完璧なミツバチヘギイタダニの駆除には [ 北信一刀流ダニ駆除法とダニ駆除剤との併用が必要 ] だが、昨年からは [ ダニ駆除剤 ] に問題が起きてきている。ここから先の新薬ダニ駆除剤の作成・開発などは研究者と製薬会社にお任せし今後に期待したい。