昨日は強風小雨で天候が悪かったが、今日からは晴れて暖かくなる。桜は既に散り、ちょうど分蜂期に入ったところだ。待ち箱の幾つかには偵察蜂(探索蜂・斥候蜂とも言う)が多数飛来しており、分蜂のタイミングをうかがっているようだ。既に分蜂して木に蜂球になっているものもあるはずだ。

 

暖かだった今早春、西洋蜜蜂を含め育児開始が早く1月初めから育児を開始していた蜂群も多く、そのため分蜂期突はわずかに早まっている。既に待ち箱へ1週間ほど通っているので、計算上は既に木へ蜂球になっているか、本日には分蜂が入居してくれる。

 

・・・という事は、女王蜂児は卵から羽化出房まで約15日間なので、ここから卵期間と幼虫期間の9日間を差し引くと残りは6日。偵察蜂は飛来が始まってから既に7日経過し8日目に入っているので、この特定の待ち箱2箱に通っている偵察蜂については、やはり既に分蜂して木にくっついている可能性が高い。既に営巣しているかのように通っているので、間違いが無ければ本日が入居日になる。

 

先日に山菜を採りに山林へ向かうと、あちこちに待ち箱が設置されていた。既に朽ちている巣箱の隣に新待ち巣箱が置かれていたので、設置者は管理に来ているようだ。あちこちに仕掛けてあるのでその数は非常に多い。これも日本蜜蜂ブームがそのようにさせているものと私は認識している。

 

だが、仮にアカリンダニ禍からおよそ脱出しつつある分蜂期になった場合、この待ち箱の多くには日本蜜蜂が入居する。近くの蜂友からは200個も巣箱を作ったという話を聞いているし、そんなにすごい数の日本蜜蜂を捕獲して、いったいどうするつもりなのだろうか? 

 

このような日本蜜蜂の捕獲行為には少々問題があると私は考えている。ただし、最近は自然巣増巣式(古式)巣箱であっても、日本蜜蜂を継続飼育できるように [ 重箱式 ] を選択する日本蜜蜂養蜂家が多くなった。これは日本蜜蜂にとても優しい事であり歓迎したいところ。ところがせかっく重箱式で捕獲した日本蜜蜂を自身の蜂場へ持ち帰り、ここに [ 逃去防止装置(女王蜂通過不能装置)] を使用する養蜂家も多い。

 

人工的な巣箱に入れた、あるいは入居した日本蜜蜂を飼育する場合には、常に冷たく冷えた樹洞の中やお墓の中とは環境が異なるため、前記の環境を再現するために適した蜂場環境へ蜂群を設置する必要がある。この [ 日本蜜蜂の営巣環境を再現した蜂場環境 ] を85%ほどの日本蜜蜂養蜂家は誤解している。それゆえに飼育群が逃去行動を起こす事になるのだが、本来の営巣環境に適合していない蜂場へ蜂群を設置した場合には逃去しようとして育児が緩慢になってくるので、蜂群としては全滅に向かうようになる。

 

ならば最初から逃去防止装置を使用せずに逃去させてあげる事で、逃去した蜂群は蜂場付近のお気に入りの場所に野生営巣し、後に分蜂群が待ち箱へ飛来・入居するなど楽しみへとつながるのではないだろうか。また、日本蜜蜂に適合した蜂場かどうかについては、発生した逃去行動からうかがい知り学びとる事ができよう。そう、 [ 人間にとって住みやすい環境 ] と [ 人工的な巣箱に入った日本蜜蜂にとって住みやすい環境 ] とは全く異なっている事に気付く必要がある。これを理解しないと [ 安定した日本蜜蜂養蜂 ] は成立しない。

 

話しは [ 日本蜜蜂の乱獲 ] へ戻すが、大量の巣箱を仕掛けたのでは [ 貪り(むさぼり) ] というものになってしまい、非常にまずく、良いことが無い。[ 貪り(むさぼり) ] の意味については閲覧者各々で検索してご確認願いたい。

 

・・・ではどうしたらよいのか。私とて里山や山林等に仕掛けている待ち箱数はせいぜい5カ所に1個ずつの5箱だけだ。そこへ入居してきた蜂群を人工分蜂して必要と思われる日本蜜蜂蜂群数を得ている。アカリンダニ禍前ならば1カ所で5群ほどは飛来してくるし、たった1日で3群が飛来した待ち箱設置場所もあった。アカリンダニ禍から脱し切れていない今分蜂期では、1カ所あたり3群ほどの利回りになるであろうか。

 

旧女王が率いる分蜂群は大きく、しかも旧女王ゆえに王台を作りやすい。このような蜂群を巣枠で飼育している場合には、春の捕獲群であっても2ヶ月後までに 4群くらい生産できる。もし暖地であれば、更にもう1サイクル作って12群ほど生産できる可能性を持っている。これだけにとどまらず、旧女王群から切り出した王台を移植する事で、春に捕獲した [ 新女王群 ] であってもそれぞれ2~3群に、大きな蜂群であれば4群に、暖地であればそれ以上に人工分蜂する事も可能だ。

 

・・・これを私は実践しており、昨年と一昨年には丁寧に写真付きでこのブログ内にて紹介している。このブログ閲覧者の皆さんや、特にプロ日本蜜蜂養蜂家を目指す人には是非ご利用いただきたい養蜂技術である。おそらく乱獲をする日本蜜蜂養蜂家は既にそれなりの日本蜜蜂養蜂技術をお持ちと思う。ならばその養蜂技術を更にもう1歩進めて、前年からの飼育群やごく少数の捕獲群を使ってその中から自身で必要な蜂群数を作り出してやりくりできるところまで進んでいただくと、日本蜜蜂養蜂が更にもっと楽しく興味深いものになってゆくはずだ。