切迫している南海トラフ地震について、予想されているような規模の大地震が起きた場合には電力・通信網を喪失するため、どのように対処・対策すればよいか考えてみる。

 

上に紹介した動画は過去にテレビで放送になったものだ。その影響か私は [ 大災害時には強い電波が出せてチャンネル数に余裕があり、所有者・運用者がある程度多く存在し、電源確保がしやすいもの ] として [ アマチュア無線 ] で通信を確保すればよいと考えていた。事実、阪神淡路大震災・東日本大震災ではアマチュア無線が大活躍している。

 

2011年3月11日に発生した東日本大震災の頃には既に携帯電話が一般的になっていたので、電源と基地局の確保さえできれば個々が持つ携帯電話で希望する通信を確保できたはずである。

 

また2019年10月台風19号では、我家から直線で2㎞ほど東にある信濃川(地元では千曲川と呼ぶ)の堤防が決壊し、信濃川(千曲川)の西側に位置する畑地や住宅地は広大な面積が水没した。この時に私はその様子を高台から見たが、それこそ大きな湖が目の前に存在しているようだった。この台風19号災害でも非常用のアマチュア無線施設が災害ボランティアの集合施設に設置されていたが、私がボランティアで出かけた頃には既に用をなしておらず、設置してあるだけで利用されていなかった。被災場所が平野部だった事から、被害の無い小高い丘の上に通信会社の移動基地局を設置した時点で通信網の確保が完了したのであろう。

 

近年では、どうかすると幼児に至るまで無線機である携帯電話を所持している時代ゆえ、大災害時には [ 通信確保 ] という分野では [ 携帯電話基地局を確保 ] することが最優先になる。基地局だけ確保できれば、非常通信をはじめとする個々の連絡希望などは各々が携帯電話でおこなえるわけだ。巨大で広範囲な災害の場合にはおそらくこの基地局の確保までに3日~7日ほどかかるだろうか。最近では私はその [ 基地局確保・基地局稼働までのタイムラグを埋めるのがアマチュア無線の役目 ] と考えるようになった。

 

ちなみに長野市のような盆地であれば、移動基地局を山頂に確保する事で初めから通信手段の喪失は起きにくいし、仮に通信手段が喪失したとしても即日あるいは翌日には通信手段を確保できる。

 

なお、今回の能登半島地震のように、一部に存在する山で囲まれた山間地域にある被災場所では臨時に設置した移動携帯電話基地局の電波が届かない事もあるため、このような場所ではアマチュア無線のHF帯を使用したり、ご苦労だがアマチュア無線家に山頂に立っていただくなどして中継してもらえばよいだろうか。あるいは毎時報の定時刻に中継器機能を持つハンディ機を持たせたドローンを高い位置に飛ばすなど、工夫次第でどうにかできそうな事もある。

 

いずれにしても大災害時の通信手段喪失に向けて、携帯電話基地局を山頂やビルの屋上などに設置(既にそのような場所に設置してある)し、電力喪失時に対応するため大容量バッテリーや発電機を設置する必要がある。加えて、バッテリー接続・交換作業や発電機の起動・接続・燃料補給が速やかにおこなえるようにするため、ボランティアになるが設置場所あるいは直近にお住いの電気・無線に詳しい人にお願いしておく必要もあるだろう。大災害時に通信会社の人がやって来てこれらの作業をしようとしても、道路が寸断されていて出かけてこれないからだ。

 

携帯電話基地局が確保・稼働できたとしても、今度は個々の携帯電話の充電が問題になってくる。これについてどこにでも存在する自動車のバッテリーやアクセサリー、あるいは車によっては備えられているUSBから充電できる。やがて自動車の燃料やバッテリーが尽きてしまうだろうが、日本国内であればその頃には自衛隊を始めとする何かしらの救助がはじまり、何かしらの物資が届き始めるはずだ。