地球温暖化が著しく進み続ける暖かな今冬、暖地の蜜蜂たちは育児停止しなかった蜂群が意外に多かったのではないだろうか。確認はしていないが、長野市の蜜蜂たちは育児停止していたはずだ。ただし、1月を迎えた途端に育児開始した日本蜜蜂が意外に多かったはずだ。

 

                                   ( 気象庁 長野気象台観測値 )

 

ところで越冬期を迎え蜜蜂が育児停止する時、何をキッカケに育児停止しているのだろうか。

 

これを考える時、上の気温表が参考になる。地球温暖化が進んだ現在の [ 長野市 ] において、育児停止して [ 越冬体制に入るのは11月頃 ] である。[ 緑枠 ] で囲ったところがそれである。ちょうど [ 最高気温15~20℃ ] ほどと暖かな時期である。これに対して新春の育児開始時期は [ 青丸 ] や [ 赤丸 ] で囲った1月中旬頃である。この時期の最高気温は10℃に満たず、零下であることも多い。しかも最低気温は零下10度を下回る日もあるほど寒い。そう、蜜蜂たちはまだ暖かな時期に育児を停止し、零下になる大寒の時期に育児を開始しているのである。そしてこの育児停止・育児開始の時期は和洋両蜜蜂でほぼ同時期となっている。

 

よって気温により育児開始期のすべてが決まっているわけではないが、暖かいと何かと花が開花していて餌があるため、訪花して蜜蜂が持ち帰った花粉やわずかの花蜜の刺激によって育児開始している蜂群も多いと私は考えている。しかしながら、表を見るとそのような餌になる花があるうちから育児停止しているのも事実だ。別の角度から考えると、育児開始時期の長野市の野外は積雪に埋もれて花は無い。しかし、そんな中で育児を開始している事も事実で、日長時間あるいは夜長時間も感じ取って参考にして育児開始している可能性がある。

 

・・・これを考え始めると、正直なところ私は蜜蜂の育児開始・育児停止にかかわる結論が出せない。

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さて、アメリカでは [ アメリカ腐蛆病を防ぐワクチン ] が開発され、既に米農務省から認可された。と言う事は、大規模養蜂をおこなうアメリカゆえに、アメリカ腐蛆病の罹病の有無に関係なくワクチンを使い養蜂をおこなう養蜂家が多くなる。アメリカで認可された農薬等は、数年遅れて日本国内でも認可されるのが常なので、いずれ近い将来に日本国内でもアメリカ腐蛆病ワクチンが認可され使用されるようになると私は考えている。そうなると日本の養蜂家の多くは蜂病に対して無対策な事が多いので、アメリカ腐蛆病の罹病の有無に関係なくワクチンを使い蜜蜂を飼う養蜂家が大半を占めることになる可能性が高い。

 

新型コロナ変異株で皆さんも学んだと思うが、世の中に存在する新生物(ウイルス等)を含む生き物は、すべからく農薬・ワクチンなどの効能を回避する能力を持つため、必ずアメリカ腐蛆病は近い将来にこのワクチンを突破する事になる。その瞬間にあちこちで西洋蜜蜂の全滅が報告され、一時的に米国の果樹園などで蜜蜂不足からパニックが起きるのではないかと私は予想している。

 

これとは別に、ワクチン使用によって症状が出ないだけでアメリカ腐蛆病菌は蔓延してゆくので、これに汚染された蜂蜜を飲む事で日本蜜蜂に一気に感染し、アカリンダニ禍と同様か、あるいは一時は暖地において危機的だった [ サックブルード病 ] と同様か、それ以上に大規模な蜂群全滅が起きるのではないかと私は危惧している。ただし、日本蜜蜂はアメリカ腐蛆病に対して幾らか抵抗性を持つようなので、私が危惧するような規模の日本蜜蜂への感染・全滅はおきないかもしれない。

 

西洋蜜蜂養蜂界は、これまでは [ アメリカ腐蛆病を発症した蜜蜂をことごとく見つけて処分 ] してきたので、事実上、アメリカ腐蛆病に対する [ 抵抗性を持つ西洋蜜蜂を選別 ] して飼育してきた。これが [ ワクチンを使用することで抵抗性の無い蜂群までも飼い続ける ] ようになるため、すぐに西洋蜜蜂の多くに [ 抵抗性の無い蜂群が蔓延 ] するようになる。ここへワクチンを突破した強力なアメリカ腐蛆病が登場する事になるので、その影響は大きなものになると考えられるのである。

 

一応、このブログ閲覧者の皆さんの頭のどこかにこれを記憶していただいて、日本蜜蜂養蜂界の将来を見ていて欲しい。

遠くない将来、アカリンダニ禍に続いて日本蜜蜂のいない静かな年が再来するかもしれない・・・