日本蜜蜂飼育群のうち 1群に [ K羽 ] と呼ばれる、羽が開きっぱなしの症状のある成蜂の増加を認めた。巣門前に飛べずに歩いている成蜂は皆無だが、今夏からスムシ弱齢幼虫の侵入を許し育児不良を呈していた蜂群である。

 

この蜂群には飛来・入居後、しばらくして稀に [ K羽蜂 ] を発見することがあったので、その度にK羽蜂を取り出して無水エタノールに付け込んで保管していた。時間のある時に解剖して [ アカリンダニ寄生 ] を確認するためである。

 

忙しさと煩わしさの中で、アルコール漬けにしておいたK羽蜂を3ヶ月間ほど放置していたが、ようやく腰を上げて解剖してみた。すると写真のように左右の脇から入り込んでいる気管それぞれに黒色化を確認した。写真の気管には何匹かのアカリンダニが透けて見えている。

 

解剖に使用した顕微鏡は [ 解剖顕微鏡(単眼)倍率20倍 中国製] の安価なもの。インターネットで安価に購入できる。付随する解剖に必要な鋭利な [ ピンセット ] や [ ハサミ ] などの類はすべて100円店で購入した。これらを使用して日本蜜蜂胸部を解剖し、コンパクト・デジタルカメラのレンズを解剖顕微鏡の接眼レンズに押し付けてマクロ撮影(接写)した。

( この解剖顕微鏡を購入する前までは、私は肉眼で日本蜜蜂の胸部を解剖し、肉眼で気管を覗き込んでいた。不思議な事にその時には、わずか5mm程度の日本蜜蜂の胸部が5cm~7cmに見えていたので、意外な事に肉眼でも問題なく解剖ができていた。 )
 

これでこの1群の全滅が決定した事になる。育児不良だった全蜂児巣盤を切除し、現在は多くの成蜂が健全に生まれ出てきているが、何となく性質が弱弱しく感じたのでK羽蜂を採集し、3か月前から採集してアルコール漬けにしておいたK羽蜂と合わせて解剖し、[ 育児不良がアカリンダニによる症状の一つだったことを確認 ] できた。

 

・・・今春の分蜂期には、あちこちで金稜辺に飛来してくる偵察蜂(探索蜂)たちの姿が、ごく普通に見られた。当然ながら営巣数も随分と増加した。しかしながらこの時期になるとアカリンダニ耐性の無い蜂群にはアカリンダニが繁殖し、このような蜂群は晩秋~来春までには全滅してしまう。その全滅に至る前の夏~初秋には [ 育児不良 ] [ 蜂児捨て ] が起き、蜂児が無くなり蜂群が不安定になるので、蜂群によってはここで逃去が発生する。よって日本蜜蜂に逃去が起きた場合には、念のためアカリンダニ寄生を疑うことが必要である。

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先日に自然観察に出かけた折、一瞬だが何かと目が合った。ふと立ち止まり、何かと目が合った場所まで5mほど戻ってみると、いました [ アケビコノハの幼虫 ] が。これはその時に撮影した写真である。気持ち悪いだけで、私にはまったく可愛らしく感じない。