当院では寝たきりで、トイレに行けない患者さんは看護師が判断して尿道バルンを留置していました。しかし、このようなやり方は正しくはありません。

 

尿道バルンの適応は「尿量を測定したいとき」や「尿閉があって自分で排尿できないとき」が正しい適応です。尿道バルンを留置してしまうとおむつ交換の頻度が減るので看護業務としては楽になるのですが医療としては正しくありません。看護人数の問題があるならいざ知らず、入院患者さんの数は10人以下です。それほど多くはありません。以前の院長などはそのような医療に問題提起しなかったのだと思います。

 

適応の無い患者さんに尿道バルンを留置すると、寝たきりなるリスクやせん妄のリスクとなります。またリハビリの邪魔にもなります。先週、看護師向けの10分レクチャーを行いました。上記の理由のため点滴、尿道バルン、モニター、酸素などの医療行為は不要になればすぐに中止することと説明しています。医師のレベル上昇と共に看護師のレベルを上げなければこの病院の評判は改善しません。

 

しかし看護師側としては今迄、習慣化して問題提起されなかったことに対して、新しく来た医者が問題提起をしたことで仕事量が増えるので面白くないかもしれません。「組織の硬直化」のブログにも書きましたが、間違った習慣にたいし疑問を抱かず習慣として継続されてきたことが異常なのですが。医師と看護師の対立は患者さんの為にはならないので、そうしなければいけない理由を説明しつつ看護師に協力してもらうという姿勢で臨みます。組織の悪習を修正するには正しさだけを追求していてもうまくいきません。前途多難です。