昨日はこの地域の消防長、消防署長が当院を訪れ救急体制に対する懇談会がありました。

 

当院は地域住民からの口コミが悪く、救急車を断る病院として有名だったようです。この3月に院長、事務長が刷新され新しい体制で地域医療が発足しました。しかし2名の医師の欠員があり2人の常勤医で2次救急を行っています。

 

非救急医による救急初療はプライマリケアの教育でも重要な位置にあると思います。しかし退職した2名の医師はプライマリケア教育を受けていない医者だったので自分が専門としない領域の救急患者さんを断っていました。卒後教育体制が変わり若い医者は非救急医であっても初療ができるように訓練されている場合が多くなってきましたが、北米型ER体制ではない大学病院で初期研修を受けると救急初療ができない医者も中にはいます。

 

日本型救急は「救急専門医」を養成する「高度救命救急センター」のような高度治療を中心に教育体制がとられてきたので診断プロセスの教育ができていませんでした。ここ20年くらい前から「北米型ER」での体制で教育する病院が増えてきました。北米型ERとは患者さんの「症状」で重症度を分類せず、診断アプローチまで含めた救急初療を行うことを目的としています。非救急専門医にたいする救急初療は北米型ERで教育されるべきです。

 

懇談会では当然、この地域の救急車を受け入れてほしいという要請です。心肺停止患者さんは当然受け入れるべきだと思いますが2人体制での2次救急の維持はやがて限界が来るかもしれません。4月から「医師の働き方改革」が始まり労務管理も厳しくなっています。

 

制度だけ作られても医者が供給されなければ医療は崩壊することとなります。