どこの病院もが抱えている問題として、大学病院から派遣されている医者は自分が勤務している病院よりも自分が所属している大学の医局を重要視します。院長とともに病院を改善するという姿勢ではなく、医局の教授の方向を向いて仕事をすることとなります。

 

滋賀県の大津市民病院で起きた外科医の退職問題も京都大学と京都府立大学の学閥が背景にあるのではないかと考えられています。

 

幸い、当院のような小病院に学閥はありません。当院の患者さんからの口コミは最悪でしたが、院長、事務長が刷新されました。昨日、町長、副町長、院長、事務長、事務次長と私の6人で会合があり今後の病院運営について話あいました。皆が同じ方向をむいて病院をよくするためにはどうすれば良いかという話し合いです。

 

当院の評判が悪い理由として、①高度治療医がプライマリケアを行っていたので標準的な医療ができていなかった。②病気を重視し、患者さんを軽視していた。③現在のスタッフが低い医療レベルのやり方に慣れてしまって前院長がそれを認めていた。

という結論に至りました。

 

当院のような小病院を受診する患者さんの8-9割は軽症です。このような軽症患者さんを診察できるプライマリケアの能力、そして軽症と思われて実は隠れている重症患者さんを見逃さない診断能力が重要となります。大学病院から派遣される高度治療医はプライマリケアの能力が圧倒的に不足していると考えています。

 

今後の課題として、安定的にプライマリケアが出来る医者をどのように招聘していくか?

(そもそも系統的にプライマリケアを学んでいる医者は圧倒的に少ないのです。) 当院のような小病院に高度治療医は不要です。

 

日本全国にあるほとんどの病院は小病院です。おそらく同じ問題を抱えている病院が多数と思います。